ちばやま

ちば山の会2001年9月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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奥秩父 笛吹川東沢周辺の沢登り(ヌク沢と鶏冠谷)


高梨さん・正木(旧姓本多)さんと東沢支流の沢へ行ったので、その報告です。 7/21(土) ヌク沢

 このコースはガイドブックでも★★★★の激賞特選コースとして取り上げられているので、期待に胸をふくらませて入渓する。近丸新道がヌク沢を横切る地点までは出会いから80分ほど。ここまでは滝が4つほどあるが、淡々とした感じなので、登山道経由でここまで来てもいいかもしれない。ただ最初の5mナメ滝で早くも柘植がドボンをやる。落ち口で後続を振返った瞬間の不注意な滑落で、腰までの釜のおかげで無傷ですむ。登山道が交差する地点から先はブルドーザが置いてあったりして落ち着かない。遡行図にない堰堤もいくつか現れてくる。しかし、奥の二股からはナメ滝が連続しはじめて楽しめる。だんだん大きくなる滝を次々と越えていくと幻の大滝とよばれる3段260mの下に到着する。1段目は100m滝だが、ザイルは不要で越せる。2段目80mがヌク沢を紹介ずる写真に必ず出ているやつで、幅も広くて豪快な印象だ。下部は階段状に見えるが、ここからザイルをつけて高梨さんトップで登攀開始。30mザイルなので4ピッチあったと思うが、途中かなり緊張する場所もあった。正木さんが登っている間に遠くを眺めると広瀬湖やヌク沢左岸上部の林道などがよく見え、とてものどかな風景だ。それなので自分らはこんな冷たい岸壁にビショ濡れでへばりついているのが他人事のようにとても不思議な気分になる。3段目80mも1段目と同じくノーザイルで登り、ようやく長い大滝も終わる。ここを越えると大きな滝もなくなり、次第に源流の様相となって、ガレ場を過ぎるとたいしたヤブコギもなく主稜線に到着。コースタイムよりかなりかかってしまったが、コースタイムはエキスパートが単独で登ったものなので、こういうものを基準に工程を考えたのがそもそもの間違い。時間も時間なので、計画の釜ノ沢下降はあきらめ、甲武信岳をピストンして戸渡尾根を下る。

7/22(日) 鶏冠谷

 出会い付近はゴルジュ状になっているが、軽快にへつっていける。その先もゴルジュと小滝の連続で快適だ。最初の難関は魚止滝だが、ここから先は大きなナメ滝やチムニー状の滝が続くようになる。ナメ滝も傾斜が緩ければペタペタ歩けるが、そうもいかないものがいくつかある。そういうのは当然高巻くが、恐怖のクライミングになったものもあった。数多いチムニー状の滝は滝芯を外すとツルツルで、必然的に中央をシャワークライミングで突破せざるをえないものが多い。高梨さんの見事なパワー&バランスクライミングにリードされて後二人も続くが、正木さんもついにドボン。しかしメゲずに黙黙と登り返してくる根性はすごい。いくら登っても次々と大きな滝が出てくる感じで、さすがに鶏冠谷は甘くない。しかもまずいことに、現在位置が確認できなくなってきてしまった。我々は右俣を目指してきたのだが、いつのまにか遡行図の滝とは違う感じになってきたのだ。しかし今さら引き返せないので、本流と思われるほうをたどっていく。急傾斜のままようやく沢も源流の気配をただよわせ、不安定な草着きからブッシュ帯へ入る。しかしこのヤブが半端でなく、背丈以上もあるしゃくなげとハイ松のミックスで、遅々としてはかどらない。トップを交代しながらひたすらヤブをこぐ。こういう無心の心境にはなかなか下界ではなれない。熊やイノシシもこんな気分でヤブをこぐのだろうか。途中の見晴らしのきく露岩から周囲の景色を眺めると、真近かに鶏冠山が見え、戸渡尾根との間には我々より左手に長い中間尾根がのびている。なんと我々は左俣をたどってきたのか!気をとりなおして更にヤブをこぎ続けると、鶏冠尾根の踏み跡にでてようやく一安心するが、迷路といわれる鶏冠尾根の下降は危険と考え、木賊山を目指す。長い登りをへて木賊山に着いたときは午後も3時半で、出発してから10時間、昨日以上のアルバイトであった。山頂で健闘をたたえあうが、あまり食欲もない。疲れた体にさらに2時間半の急下降はこたえたが、充実した気分で昨日と同じ戸渡尾根を下っていった。

                         柘植 秀樹

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