ちばやま

ちば山の会2001年12月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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南アルプス縦走


広河原―北岳―間ノ岳―熊ノ平―塩見岳―三伏峠―荒川前岳―赤石岳―さわら島

8月7日(火)
7月まで頑張っていた夏の太平洋高気圧がここにきて元気がない。週間天気予報もあまりよくない。一週間も山へこもるわけだ、2,3日雨に降られるのもしかたないものだ。そう思いつつ、23時50分、新宿発の急行「アルプス」に飛び乗った。広河原から聖岳を越えてさわら島まで約60kmの道のりである。南北に貫く南アルプスの背骨である。
午前2時、甲府着。月がぼんやりとしていた。あまりいい天気は望めないかも。。。
午前3時、広河原行きのバスがやってきた。バスはほぼ満席であった。一台のバスが闇の中を貫いていった。


8月8日(水)晴れのち曇り
午前4時40分、広河原到着。くっきりと西に傾いていた月が輝いていた。そして東の空が明るく青みを帯びていた。午前5時、真夏の太陽光線が北岳を赤く染めていいくのが麓より確認できた。いっそうクライミング意欲が掻き立てられる。
大樺沢を突き進むにつれ、真夏の暑い太陽が背中を焦がしていく。背中のザックもヘビーである。さすがに一週間近い食料を持ち込むのはかなりヘビーである。
大樺沢二俣の花畑も見事である。これより右俣の急登より稜線に達すると、視界に甲斐駒ガ岳や仙丈岳が飛び込んできた。ようやく急登も終わりいよいよ3000mの稜線歩きが開始された。北岳肩の小屋付近でガスの覆われ、残念ながら北岳山頂での展望は見られなかった。
今日のベース、北岳山荘には1時過ぎに到着。さらに次のキャンプ地、熊ノ平を目指そうと考えたが、長い道のりゆっくり行こう、3000mの雲の上の縦走路である。明日の天候のいい時を狙って歩くのがいいのであろう。そう考え、ここに泊まることにした。

8月9日(木)雨、強風
午前4時、猛烈な風雨に叩き起こされた格好になった。さすがに3000mの稜線、半端ではない。大自然の洗礼を入山2日目に受ける。コーヒーを入れながら、今日のコースを再確認した。幕営地は熊ノ平、北荒川岳南斜面、雪投沢源頭、三伏峠であるが、この天候、塩見岳を越えられるかが大きなポイントとなった。
午前6時30分、風がやや収まったのを確認し大急ぎでテントをたたみ、3000mの世界へ飛び出していった。風雨は再びひどくなり、ガスに覆われ視界ゼロ。間ノ岳から三峰岳方面へ分岐していよいよ仙塩尾根への縦走路へと舞台は移った。
三峰岳より高度を少しずつ下げ樹林帯に突入した。南アルプスは樹林というよりはむしろ樹海と呼ぶほうがふさわしいのかもしれない。
白いガスに覆われ、その中で黄色や青紫、ピンクの花が幻想的に浮かび上がってくる。とくにトリカブトのあの紫は印象的である。
午前10時、ようやく熊ノ平へ到着。早いがこの天候でこの先突き進んでも仕方がない。今日の幕営地をここ、熊ノ平へすることとした。(内心、もったいないと思ってはいたが。。。)しかし、計画からは大きく遅れをとることになってしまった。聖岳までの縦走に黄色信号が灯ったのは言うまでもない。

8月10日(金)曇り
午前2時、起床。まだ暗闇に中だ。今日は昨日の遅れを取り戻すためにヘッドランプを装着しての縦走となった。
午前4時、闇の中へ飛び込んでいった。樹海と濃い霧に覆われ、ヘッドランプの明かりが妙に不気味だ。
午前5時を過ぎてようやく明るくなったもののガスに覆われる始末。樹海の森では問題がなかったが、北荒川岳では樹海から稜線に飛び出したため猛烈な突風にあおられる。まさに風の通り道である。
晴れていれば目の前に塩見岳の勇姿を見ることが出来るのに残念である。
いよいよ塩見岳の急登が始まる。突風の中、我武者羅に上り詰め、ようやく塩見岳東峰へ、しかしそんなものには全く気づかず、いつのまにか西峰へ到着してしまった。午前8時30分、残念ながらガスに覆われ展望は無いが、雨に打たれない分まだマシである。
ゆっくりしている暇はなく、高山裏をいまだ目指していた。しかし、下りと侮ってはいけなかった。三伏峠までの距離は結構なものであった。さらにピッチを上げたが三伏峠到着はちょうど12時。さらにぽつりぽつりと嫌な奴が天から降ってきた。
この先エスケープルートも無く、天候が悪化すれば、南アルプスから抜け出せない可能性もあるため、とりあえず今日も早いがここでテントを張ることにした。
この時点で聖岳の頂上に立つのは絶望的であった。
このまま悪天候が続きそうであれば、ここから塩川土場へ下山することも可能である。また天気のいいときくればいいや、と開き直ってしまった。

8月11日(土)曇りのち雨
午前5時、飛び起きた。久しぶりの青空にちょっと弱々しいしい夏の太陽。これはこの先進むしかない。急いで朝食を済ませて、パッキング。三伏峠を後にハイピッチで登りあっという間に烏帽子岳に登る。ここからの塩見岳の眺めは圧巻である。さらに縦走路は南へ伸びる。遥か彼方に荒川三山の壁が立ちはだかるが、山頂はガスに覆われ確認できない。小河内岳までは気持ちのいい稜線歩きではあったが、ここから縦走路は樹海の中へ消えていった。この辺りは倒木も多く、人の手が加えられていない。その倒木にコケが生していた。三伏峠から荒川前岳の間はメジャーな山も無く展望もそれほど得られないためか、人と会うこともなかった。
高山裏には午前10時到着。避難小屋の管理人さんのブッキラボウな言葉が印象的であった。いかにも南アルプスの山小屋の名物親父さんのようでもあった。しかし、いよいよここから荒川前岳の登りが始まる。気合が入るところではあるが、またしてもぽつりぽつりと天から奴が降ってきた。この程度なら行けるだろう。とりあえず、荒川小屋を目指した。が、しかし急登が始まったころからすごい勢いで降ってきた。「登れるなら登ってみろ!」大自然が吼えていた。 こちらも引き返すことも出来ず、一歩一歩急登を上がっていく。ガスに覆われ、前岳の山頂は、見えず。苦しみぬいて、高山裏から3時間。荒川前岳の山頂に到着。雨に打たれながら荒川小屋へと下っていった。
やっとの思いで、小屋に到着。びしょびしょである。小屋の管理人さんからこの天候の中よく三伏から頑張ったなあ、と誉められたのがせめてもの救いだった。しかし、この管理人さん、太陽のように優しい人であった。テント代を払い終えた瞬間、バケツをひっくり返したような雨が降ってきた。しばらく小屋に避難させてくれるとともに、ストーブに火まで入れてくれた。大感激である。その後ビール片手にこの管理人さんと2時間も話し込み、おまけに夕食の2000円カレーを食べることになったが、このカレー手作りであり、お代わり自由。しかもライスだけでなくカレーもである。サラダもついている。安いか高いかは別として人の暖かさに触れたような気がした。しかもこの日小屋に泊まっていた親切な方から領収書をいただいた。つまりこれにより東海フォレストのリムジンバスに乗れることなった。本当に感謝の一言である。

 8月12日(日)曇り
午前5時起床。相変わらず、雨が降っていた。天候も今日から回復傾向にあるとの情報を得ていたが、そんな気配は今のところ全く無い。のんびりコーヒーを入れ、またしても地図とにらめっこである。つまり今日ここへ滞在して、明日一気にさわら島へ下山する計画を考えた。そう考えると、今日はのんびり出来る。
が、しかし午前6時、雨が上がり、薄日が差してきた。考えは一転、前進あるのみ、赤石小屋を目指すこととした。急いで食事を済ませ、小屋の管理人さんへ挨拶を済ませ、赤石岳を目指した。さすがに荷物も軽くなり、赤石の登りは結構楽勝であった。8時50分、赤石岳到着。もちろんガスに覆われた状態である。雨が降っていないだけマシである。そこから先は百間洞を経て聖岳であるが、残念ながら次回と言うことになった。ここから赤石小屋までの下りである。
途中、富士見平で日が射してきた。ここでテントやら濡れているものをすべて乾かした。それでも時間はあまり過ぎ、赤石小屋には12時前には到着。ボーっとするのもまた良し!残念ながら赤石岳の姿は見れないが、明日は晴れてくれるはず、そう願いながら何もしない半日が過ぎた。

8月13日(月)晴れ
午前4時起床。テントから顔を出すと空は満点の星。南アルプスへ入山し、最終日になりようやく眺められた。当然、最高の夜明けを期待した。小屋の裏の小高い丘へ登りご来光を待つ。夏の太陽が赤く燃えている。もちろんその太陽光線を浴びて、赤石岳が赤く燃える。ようやく南アルプス南部の山々が姿を見せてくれた。悪天候続きの山行が嘘のようであった。
今日はさわら島までの長い下りだ。午前6時出発。長〜い、長〜い、下りが始まった。黙々と下るのみ。9時30分、さわら島到着。シャワーを浴び、さっぱり。生ビールを飲んで、リムジンバスへ。畑薙第一ダムより静鉄バスで静岡駅へ。静岡駅3時40分着。新幹線で東京へ。長かった南アルプスの山行が終了した。雨また雨の南アルプスではあったが、聖岳は次回(来年)のお楽しみにとっておこう。



                         森(隆)

  

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