ちばやま

ちば山の会2002年6月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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「私の一名山」   その3<杢蔵山(もくぞうやま)>


知らない方も多いと思います。山形県新庄市、神室(かむろ)山系にある標高1000m強の山です。

当時僕は冬山をはじめて二年目、しかも新田次郎の"孤高の人"を読んですっかり感化され、「やっぱり冬山に単独でいかな、一人前のヤマヤとちゃうで...」などと冬山単独行にあこがれてました。12年前のことです。

岳人の記事でこの山のことが紹介されていました。内容は、積雪期にオジサンたち三人組がゴム長靴にワカンという奇天烈な装備でラッセルをし、手入れの行き届いた無人の山小屋で薪ストーブを囲んで宴会をする、という内容でした。コースタイムも登り五時間程度と手ごろだし、無人の山小屋やストーブが当時から大好きだったので、単独で行ってみることにしました。

三月、八甲田での二週間の合宿が終わり、大阪まで電車で帰る途中で仲間と別れ、新庄で途中下車しました。岳人に紹介されたとはいえ平日だとまったくひと気はありません。ワカンをはいて林道をラッセルしました。途中のテレビ塔までは問題なかったのですが、急にガスが濃くなりホワイトアウト。小屋の手前数百メートルはほとんど起伏も樹木もない地形なので、まるで目印になるものがありません。

頼れるのはコンパスと地図だけ。自分の現在位置を決めこむと、小屋と思われる方角にまっすぐすすみました。視界は2メートル程度しかなく、コンパスの指す方向と自分の足元だけを見て....

突如山小屋が目の前に現れました。地図とコンパスに感謝です。小屋は手入れが行き届いており快適。薪ストーブですっかり温まり、快適な夜を過ごせました。

その後ちばやまに入会し、何度かちばやまの仲間とこの小屋で宴会をしました。山スキーでも行きました。でも最初に一人でやった読図は忘れられません。

                         西山(記)

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