ちばやま

ちば山の会2002年8月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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「私の一名山」   その5<白馬岳>


ちば山の会に入って、初めて山らしい山に登った、もう10年以上前のことです。紅葉を見に行こうと誘われ、ベテラン男性3人と、初心者の女の子3人(当時の私も含む)で、でかけました。10月でしたので、確かに紅葉真っ盛り、ハイキング気分で楽しく歩いていました。

登るにつれ賑やかな色彩はなくなり、周りはごつごつとした岩肌と枯れた高山植物の残骸。そのうち雲行が怪しくなってきたかと思えば、ぽつぽつと雨が・・・上を見れば道はまだ果てしなく続いています。冷たい雨は、容赦なく打ちつけます。もう歩くのやだなーと思ってしまうと、ペースまで落ち、紅葉の山のはずが・・・騙された・・確かに恨みました。

そしてとうとう、雨が雪となってしまいました。ろくな装備も用意していなかったので寒くて、身も心もかじかんでしまい、小屋が見えてもなかなか近づいてくれず、絶望的な気分で重い足を一歩一歩上げてゆくしかありませんでした。ようやく小屋にたどり着き、これで風雨にさらされなくてすむんだとほっとしました。とにかく温かいものを口にして体を乾かすと気分もリラックスしてきました。、これで終われば多分、このつらかった思い出はただの苦しみでしか残らなかったでしょう。

ショウタイムがやってきました。夕方近く、私たちは雲上の小屋の窓から雲のベールが払われたかと思うと想像を絶する大きさの真っ白な山々を目にしました。今まで何もなかった空間から一気に現れた光景は、それはそれは、思いもよらぬ感動でした。小屋にいた人たち皆、共通の思いを抱いていたに違いありません。なんだか涙さえ浮かんできました。これで今日のことは全て帳消しとなり、これを見せたいがために連れてきてくれたのかしら・・・いえ単なる偶然でしょうけど、この時の山行は、私にとって山を始めるきっかけとなりました。

白馬岳、私の思い出の一名山です。


                         上茂(記)

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