ちばやま

ちば山の会2004年01月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

Tel・Fax 043-255-9821



山行報告 : 八ヶ岳 旭岳東稜


メンバー : 広木、三代川、柘植(記)

旭岳とは権現岳の少し赤岳よりの2670m峰ですが、ここから東面の地獄谷に1本の急峻なリッジが落ちています。この旭岳東稜にチャレンジしたのですが、残念ながら敗退でした。

【12/13(土)】

出合小屋からすぐに赤岳沢分岐、ここを過ぎてしばらく進むと広い二股になる。ここが旭岳東稜の末端だが、ガイドでは右の地獄谷本谷を少し進み、ツルネ東稜末端を左の「上の権現沢」を少し登ってから取り付くようになっている。しかし、二股左の権現沢へはトレースがあるものの、右には全くない。悩むが新雪に踏み込んで地獄谷へ入る。トレースのない谷沿いの道は歩きにくいので、ツルネ東稜末端に着く前に左の斜面を登って、旭岳東稜にとりつく。急な雪壁と上部の笹ヤブこぎしばらくで稜線に出る。とくに踏み後はないが、ヤブが薄いので以降順調に工程をかせぐ。雪は数cmといった程度。しばらく進むといつのまにか急にトレースがはっきりしてくる。

このあたりに登り上げるのが正規のルートか。東稜末端から3時間くらい歩いたところで、急に稜線がやせて3箇所ほど急なアップダウンが出てくるので慎重に進む。

ここからしばらく急登すると、前方にテント一張り発見。この周辺しか張れそうな感じがしないので、さがみ山友会さんのとなりに我々も張らせてもらう。夕方雪になり明日の天気が気にかかるが、夜は月明かりで明日は晴れそう。

【12/14(日)】

快晴のなか7時前に出発。お隣は6時すぎに出たようだ。ここからは急なリッジとなり全く気が抜けない。1時間くらい進んだところで、後方から3人パーティーに抜かれる。しばらく進むと尾根は形状を失い、急な雪壁状となる。雪が不安定だと雪崩の心配があるところだ。前のパーティーの踏み跡を壊さないように慎重に登る。

やがて前方に核心の5段の宮が見えてくる、各々の壁は数mだが、これが5段に重なった岩場だ。1パーティが巻きルートを、もう1パーティーが直登しているのが見える。ただどちらも動きが非常ににぶい。我々も取付近くからルートを観察する。過去の記録を読むと直登はかなり厳しそうなので、巻きを考えていたのだが、巻きもかなりいやらしそう。岩壁は見た感じ各々垂直に近いが、規模は小さく行けそうな気がしたので、直登することにする。柘植トップで取り付くがすぐにこの荷物を背負ったままでは不可能なことを悟り、空身で登る。広木さんが登ったところで、3人の荷物を上げて、最後の三代川さんを上げる。しかし荷物がひっかかったりして、この登り方はかなり時間をくうがやむをえない。2段目を登ったところですぐ目の前に3段目。下の2人を先に上げるかどうするか考えるが、とりあえずもう1段登ることにする。しかし1・2段目以上に3段目は厳しく、1回墜落。三代川さんの確保で滑落をまぬがれる。目の前には手のひらが入るくらいのクラックがあるのだが、アイゼンの前爪を引っ掛ける足場が見つからない。そういえば過去のパーティーの装備にフレンズだのイボイノシシだの書いてあったのを思い出すが、後の祭り。こういったルートに取り付くにはクライミングギアの研究が重要だが、今回は怠っていた。というより正直知識に乏しい。リーダーとして失格でメンバーには申し訳ないが、これ以上進むのは無理と判断して、懸垂で1段目取付に戻る。時刻は11時すぎ。巻きを行っても、順調に進める保障もなく、暗くなるまでに下山できるかどうか分らないので、敗退を決める。

しかし敗退も楽ではなく、アイゼンはダンゴになるし、後ろ向きのクライムダウンは時間ばかりくう。懸垂で逃げると冷え込んできたせいかロープは棒のようになってしまう。かろうじてテン場跡まで退却したときすでに14時前。ここからは傾斜も緩むので一安心だが、日没までの時間との競争が始まる。そのうち尾根が広くなると、昨日夕方の雪のせいか踏み後も不明瞭となる。思い切って早めに地獄谷に下りるべく尾根の左手方向の沢に入る。傾斜はゆるい沢だがここで広木さんが左足のアイゼンがないことに気づく。少し戻って探すがみつからない。どこでなくしたのか分らず、探している時間もないので、あきらめて慎重に歩きにくい雪をかぶった沢筋を進む。下に広い川原が見えてくると踏み後が見える。ホッとしてしばらく進むと、出会小屋近くの指導表を発見。しかしここでなんと我々は権現沢を下りてきたことが判明して、愕然とする。東稜の左方向に下りたつもりが、なんと右手の権現沢方面に下りていたのだ。なんとか日没前に無事に車にたどりついたが、いろいろと反省の多い山行であった。


                         

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