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ちばやまの会 山スキーの部屋
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蓮華温泉・雪倉岳・金山沢山スキーの記録  4月27日〜29日 

行動記録 メンバー:菊池単独

日付 行動内容
4/27 早朝千葉発―中央道―栂池高原スキー場駐車場−ゴンドラ・ロープウェイ−栂池ヒュッテ−天狗原−乗鞍岳―白馬大池−船越の頭−滑降−白馬大池−滑降−蓮華温泉
4/28 蓮華温泉−雪倉岳−滑降−蓮華温泉
4/29 蓮華温泉−白馬大池−船越の頭−金山沢滑降−猿倉−車道歩行−二股−栂池高原スキー場駐車場

今年のゴールデンウィークのスキーツアーは、残り僅かの百名山のひとつの平が岳を尾瀬から狙うか、かねてから憧れていた蓮華温泉・雪倉岳方面か、または鳥海・月山を組み合わせるか、雪解けも早く状況判断が難しく直前まで決めかねて、結局単独での行動となった。

4月27日 天気は直前まで崩れていたが予報では回復の兆しで、2,3日は晴れベースである。単独であり、本日の行動が楽なため、早朝発で通いなれた中央道を一人気ままに愛車を走らせた。車窓からの景色が南アルプスから北アルプスの白馬連峰へと変わって行くに従い眠気は吹っ飛び、栂池スキー場の駐車場に着く頃には、初ルートへの期待感に胸を膨らませていた。ゴンドラ駅に隣接の駐車場は連休とはいえ、初日の8時で十数台が駐車しているのみである。1日500円で3日分の駐車料金を高いと思ったが、さらにゴンドラ・ロープ-ウェイが往復のみの発売で2500円位、これも高いが時間的にも、楽をするためにも致し方ない。(後で知ったが、中間駅には無料の駐車場があり、そこを利用した方がうんと安い。次回からこの手で行こう。)

例年になく雪解けが早くゴンドラからみる栂池スキー場は春の草原に、茶色の土のコースが目立っており、春スキーは上部のみが可能である。それでも栂の森の降り場付近はたっぷり残雪があり、ロープウェイ乗り場への道路脇に数メートルの雪壁を作っていた。

9:15 栂池自然園のヒュッテ前(1850m)からシール登行開始。天気もよくトレースもはっきりしており、順調に天狗原(2204m)についた。時間的にもかなり余裕があるため、振り子沢ルートは取らず、白馬大池から蓮華温泉へのルートを選択した。乗鞍岳に到る大斜面は標高差200m、最大30度弱の急斜面であるが、ゆっくりジグザグでシール登行できた。途中先行組が、奇声をあげ爽快にこの大斜面を滑降してきたが、そこはぐっと我慢をして大池に向かった。残雪が少なく、乗鞍岳頂上(2436m)付近から大池の東岸付近まではスキーをはずした。このまま蓮華温泉に下るにはもったいない。眼前には小蓮華方向の船越ノ頭からの大斜面が『おいでおいで』と手招きしている。先行の数人(金山沢を下った)を追った。斜面のボトム(大池の南岸)にザックをデポし、空身のハイスピードで標高差約200mの大斜面をシール登行した。船越ノ頭の稜線からは、上部の展望はやや不安定な大気により雲が多く望めなかったが、金山沢とおぼしき方面は観察できた。4月7日芝倉沢以来の滑降である。

滑りやすいザラメの大斜面に大きなテレマークターンを決めた。途中で後続の二人組が登ってきたが、蓮華温泉の同室で声をかけられ、翌日からの行動をともにすることができた。

白馬大池(2373m)から蓮華温泉(1416m)まではツアールートとはいえ利用者は少ない。先行者が一人いたが、自分なりにツアー集と地図を検討していたため、尾根方向に向けてコンパスを頼りに下り始めた(14:14)が難しい。左下方に修正し先行者のトレースを見つけほっとした。春の午後、暖かい陽光をあびて、雪倉岳を眺めながらの小休止。このころからあたりにはガスが立ち込め、ルートファインディングは困難になってきた。不安を抱きながら、先行者を信じトレースをはずさないようゆっくり下った。途中急斜面上部のごく小さな浅いクレパスの直前でバランスを崩したが、35度以上の硬い斜面は横滑りなどで慎重に下った。いつのまにかトレースは狭い沢状のルートを進んでおり、細心の注意を払いながら暫く下っていくと、徐々に斜面は開け、見通しも良くなり、蓮華温泉の建物が間近に見える地点であった。緊張の糸は解け、16時前に第一日目の行程は終了した。蓮華温泉といえば、露天風呂が有名である。疲れきった身体に鞭打ち、10分ほどスキー靴のまま小屋の裏からスリップしながら登り、夢にまで見た薬師の湯にゆっくり浸ることができた。


4月28日 昨夕知り合った同年代の二人組にお願いし、今日からの二日間をご一緒させていただいた。
早い朝食を済ませ、7:00絶好のツアー日和の中、雪倉岳へ向かった。この時期、休日の好天であれば、トレースがあり単独でも心配はまずないが、このルートの経験者である同行者が見つかり心強かった。瀬戸川の渡渉地点(1392m)から滝ノ沢ルートに取り付くが、ここまでは蓮華温泉の西に近接している小尾根を乗越し、キャンプ場を通りほぼ西方向に約1時間半かかる。残雪が少なく渡渉点は取り付きに近いスノーブリッジがしっかりしている1ポイントであった。ややルートがわかりにくく、いくつものトレースがついていることもあり、てこずることもあろう。

滝ノ沢ルートを暫くシール登行すると、30度程度の急斜面が控えており、早めにツS02yukikura03.JPGボ足に切り替えた。無理をしてシール登行した山スキーヤーが最後の最後で30メートルあまり滑落してしまった。危険性がない所であったが、キックターンの難しさとシールの調子が悪かったようで、状況判断が甘いと言わざるを得ない。

ここを過ぎるとシール登行で間もなく雪倉の頂上からの大斜面が眼前に広がる台地状の地点についた(11:08)。滑降意欲をそそる大斜面を前にしばし休憩。頂上までは標高差にして300m弱、やや左よりの直登ルートを選択する方が多いようであるが、頂上直下の急斜面がきつそうである。斜面を右方向に巻いて頂上から北東に向かう尾根から頂上を狙った方が、遠回りながら楽なようでありこちらを選んだ。大斜面のバックに小蓮華山が望まれ、辛い登りも癒された。

12:50山頂(2610m)に到着、雪で冷やしたビールの格別なこと!!雲間から白馬の端整な山頂が望め気分は最高であった。360度の大パノラマを満喫し、いよいよ標高差1200m強の大滑降(14:00)が始まった。バテバテで登ってきた北東に向かう尾根を標高差で約100m,日に照らされたフィルムクラストの極上斜面に歓喜を上げないわけにはいられなかった。ここからさらに30度弱のカール状の大斜面、標高差で約200mも滑りやすいザラメであった。沢ルートは高度を下げるにつれ、凹凸と降雨による縦襞が多くなった。疲労を増した大腿四頭筋に負担が掛からないように、ゆっくり斜面を選んで下った。取り付きのスノーブリッジにつく頃にはヘロヘロ状態であった。疲れきった身体に鞭を入れ蓮華温泉に辿り着いたがビールの美味かったことはこの上ない。

4月29日 単独では実現が難しい金山沢のコースを、ラッキーにも同室の二人連れのご好意に甘えて挑戦することにした。食料が減ったとは言え、かなりの重量のザックとスキーを標高差1000m担ぎ上げなければならない。朝食は自炊とし、6:00に出発。朝の硬い雪のため、始めからアイゼン登行にした。

白馬大池方面に向かう雪渓をアイゼンを効かせ快調に登った。1日目にガスの中、下ってきた沢(谷)コースである。私はそのまま谷を詰めることにしたが、二人は途中で右の稜線へのルートを取った。昨日下ったコースと思いこみ、徐々に狭くなった急斜面の雪渓を快調に高度を稼いだが、どうもおかしい。スキーのトレースが無くなっている。上部は昨日下ったルートと違うようである。30度を越す急斜面になり、アイゼンが効き、ステップが刻めるが、日陰のため硬い雪面であり、強い緊張感が襲ってきた。直登が難しくなったため、左の稜線様にみえるところまでは20mくらいで到達できそうである。なんとか斜め登行できる斜度であったが、最後の5mでステップが小さく急なため方向転換できず、難渋した。気を落ち着けてバランスを崩さないように、ステップを徐々に大きくし何とか方向転換、無事安全な地点に到達した(8;25)。その後も暫く30度弱の斜面が続いたが、日当たりがよく、やや雪が緩んでおり問題はなかった。(二人連れは、一人が前爪のアイゼンではなく、また滑降ルートの稜線に戻った。時間的には二人連れよりかなり早く登ることができたが、私は自信過剰と、第一日目のガスのなかでの滑降ルートを登ってきたものと考えたが途中から違っていたようで、かなり危険な登行であったと反省している。)

白馬大池の手前でシール登行に切り替え、11:15船越ノ頭に到達した。ツアー最後の登りを終え、小蓮華、白馬.杓子などのまばゆい雄姿を眺め大休憩。

12:10 滑り出しが40度ほどの稜線から落ち込むカールに飛び込んだ.緩んだ雪質のため、恐怖心はないが、はじめはゆっくり大きなターンを刻んだ。カールの底に近づくにつれ小ターンで締めくくった。カール状の大斜面を仰ぎ見て、しばしあお向けで休憩した。変化に富んだ金山沢を下っていったが、クレパス、デブリなど十分注意する部分もあったが、ゆっくり状況を見極めながら滑降すれば、快適で豪快なルートである。白馬沢との合流手前で、右斜面からのブロック雪崩れ跡のため、10mほどスキーをはずした。金山沢滑降のフィナーレ(13:30)では、白馬沢との出会い(1374m)から仰ぎ見る白馬の雄姿に言葉を失うほど感動した。猿倉(1240m)までは登山道を滑走可能であるが、二股(832m)までの車道はスキー靴でゆっくり1時間半かけて下った。(スニーカーなど持参がよい。)二股の露天風呂でゆっくり汗を流し、予めデポしておいた同行者の車で栂池の駐車場に向かった。お世話になった二人にお礼を言い、別れ際に住所をお聞きしようとしたら、逆に『これをあげます』と差し出された自作のステンドグラス作品集を戴いてしまった。塩尻の工房で活躍なさっているO.K氏であった。素晴らしい同行者にめぐり会え、温泉・山スキー三昧の3日間であった。



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