2006年05月01〜06日 日本オートルート山スキー


メンバー  田村(CL)単独
コース   扇沢P〜室堂〜五色ヶ原山荘泊(5/1)〜越中沢岳〜スゴ乗越泊(5/2)〜薬師岳〜太郎平泊(5/3)〜黒部五郎〜三俣蓮華〜双六泊(5/4)〜西鎌尾根〜槍ヶ岳〜槍沢〜徳沢泊(5/5)〜上高地〜扇沢車回収(5/6)

GWは憧れのオートルートにチャレンジすることにした。単独・テント泊となり軽量化に苦労する(ザック重量16キロ)。

9連休をとり、好天が望めそうなタイミングでの入山を計画するが週間予報がコロコロ変わりあてにならない。結局、低気圧の抜ける1日に入山。 初日はガスガスでザラ峠への滑降時にちょっと視界が効いたのみ。ルート把握に苦労する。五色で小雨となり山荘泊にする。夜からは雨と雷になり屋根付きにして正解。

翌日は午後から天気回復との予想に雨の上がった10時に出発。今日もガスガスで計器行動。越中沢岳の下り等ガイドブックでは夏道を下るとあるが、今年は積雪が多くツボ足でハマったりして結構手こずる。天気が回復しないままスゴ乗越に到着しテント設営。小屋はかなり雪に埋まっていて使えないっぽい。日暮れ間近になりやっとガスがきれ延々と連なる山々が見えるようになる。

3日は朝から快晴!この日のメインは薬師岳の下りである。北薬師〜薬師の稜線は細かなアップダウンが多く板を担いで歩く。バテかけた頃に薬師山頂に着くがさらに10分弱歩かないと滑りこめない。薬師峠までの滑降はチョー快適。標高差600mを10分で下ってしまう。太郎平にはシールをつけ30分。時間には余裕があったが先に進んでも日程に変わりないので早めのテント設営。なんと自分の30分あとに五色から到着した人がいた。天気がいいとこんなもんか。

4日も朝から快晴!目指す双六は黒部五郎のはるか先だ。北ノ俣へは快適なシール登高、有峰ダムが見えるのでもしやと思い携帯の電源を入れると予想通り使用可。メーリングリストに順調報告。北ノ俣からは斜滑降で黒五の取り付きに。ピーク手前の肩までは板を担いで直登。ピークを往復したあとカールへの急斜面に飛び込む。気持ちよいターンをするのもほんのわずかで、黒五の小屋までひたすら斜滑降。ゆっくり休んだらシールを着けて三俣蓮華までひたすら登る。本によると最後は板を担ぐとあるがここも雪が多く山頂までシールで行けた。山頂からは稜線とトラバースルートがあるが荷物も重いし今回はトラバースを選択。双六の下まで延々と斜滑降し、ちょっと登り返すとちょうど小屋裏の急登の上。ギャラリーが多く下手な滑りは許されない、テン場まで華麗なターンで滑り込む。

この先のルートとしては予定通り槍沢に抜ける道とテン場からすぐに滑りこんで新穂高に降りる二つがある。新穂高に降りるコースも「ミニオートルート」と呼ばれており疲労のたまった体には非常に魅力的である。実際、八割くらいの気分で楽な方を選ぼうとしていた。

5日、やや薄い雲があるが晴れ。計画は完成させてこそ美しいと西鎌尾根へ足を向ける。槍ヶ岳まではひたすらアイゼン歩行である。岳に登ると西鎌の威容が飛び込んでくる。いきなりナイフリッジ、その後も厳しそうな稜線が続いている。とにかく雪が多い!風がほとんどないのが救いである。グズグズ雪の急な下りやトラバースを慎重にこなして予定通りの時間に千丈乗越着。あとは槍までの急登だけだ。これが終われば楽しい下りが待っていると思えども、疲れた体と無駄に重いファットスキーのせいで槍の肩がなかなか近づかない。なんとか肩に到着、さぁ槍はどうする?と言う話になる。一般的には槍のピーク抜きでも認められている。実際、このツアーの場合、登らない人は多い。しかし、ルート中の最高峰、オートルートのシンボルと言える槍ヶ岳のピークを踏んでこそ真の計画完遂である。空身で往復してくれば疲れも多少とれるだろうと登りにとりかかる。ここも雪が多く慎重なアイゼン歩行が求められる。

記憶によればこのハシゴを登ったところがピークのはずと頭を突き出すと、なんと!北鎌パーティーがいるではないか!ひょっとしたらとは思っていたがここまでピンポイントとは…。神山・大塚に両腕をガッツリ抑えられての拉致写真を撮られたら小屋まで下りる。この時間だとどこから来たのか山スキーヤーが結構滑り降りている。こちらも北鎌パーティーに見られながらのエントリー。斜度はいいけど午後二時を過ぎて雪質はべったべた。おまけに3ターン目くらいで石がひっかかり危うくギャラリーの前でバランスを崩しかけるが、そこは持ち前のテクニックで何事も無かったかのように滑りきる。標高差200m滑ったとこで一時停止。ザックは重い、雪質は悪いで腿はあっという間に悲鳴をあげる。下れば下るほどグサグサ雪は深みを増し、とてもじゃないがターンにならない。これがフィナーレでいいのか??? 結局、きれいな雪は槍沢小屋まで。あとは落ち葉となんだかわけの分からない物の上を無理矢理滑って横尾と徳沢の間まで下る。二時過ぎのエントリーで横尾着が五時。もしかしたら上高地まで行けるかと思ったけれど、行動12時間を越え、疲れた体は徳沢で「もうダメ」と訴える。なんだか中途半端な気分で最後の夜を過ごす。

六日も四時に起床し朝イチのバスを目指す。昨日の疲労もとれて一時間ちょいで河童橋着。期待してなかったのだが、なんとこの時間に食堂が開いている。迷わすカツカレーを注文し、久々の「食」に心を潤ませる。 オートルートの完全制覇の瞬間です!

あとは8時のバスに乗り、スキーブーツのまま(笑)電車とバスを乗り継ぎ扇沢のマイカーに戻る。

いつもの薬師の湯に入り、百年の恋いも冷めるような状態からスッキリしたイイ男に戻ってやっと人心地つく。

あとは渋滞のなか帰るだけ…

ここまで読まれた方、長文・駄文お疲れ様でした。





                                                     田村(記)

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2006年 千葉県勤労者山岳連盟 ちば山の会 
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