妙高火打山・三田原山、焼山北面溶岩台地山スキー報告

 

今年のGW、定例山スキーのルート選定は白馬・柳又谷付近か、高谷池ヒュッテをベースにした火打山・焼山北面溶岩台地か迷ったが後者に決定。前半は好天のもと、ヒュッテ周辺・火打山・黒沢岳・三田原山を滑りまくった。笹倉温泉から標高差1800mをシール登行してきた四国の岡田(博)さんと立山以来の再会、素晴らしい自炊環境をもとに宴会は盛り上がった。5日悪天のため3名は笹ヶ峰に下山、予備日の6日、絶好のツアー日和に恵まれ、岡田(博)さんのガイドで笹倉温泉までの本邦屈指の素晴らしいロングツアーを堪能できた。

 

【日程】200853日〜6

【メンバー】CL菊池、岡田(悦)、石橋、鶴田、岡田(博)

【行程】

2日 夜千葉発−信濃町IC  道の駅で仮眠

  3日 快晴 笹ヶ峰駐車場(1300m)−十二曲−富士見平−高谷池ヒュッテ(2110m)−ヒュッテ下南西斜面(標高差100150m)3本滑走−ヒュッテ泊(自炊)

  4日 快晴 ヒュッテ−火打山(2462m)−南斜面標高差約400m滑走−黒沢岳稜線−東斜面標高差160m滑走−三田原山稜線(2300m付近)−西斜面(1900m付近まで標高差約400m)林間滑走−富士見平−西斜面標高差約150m滑走−高谷池ヒュッテ 累計滑走標高差約1100m  ヒュッテ泊(四国岡田さんと合流)

  5日 曇りのち雨 3名は笹ヶ峰に下山

     ヒュッテ−火打山肩−南東斜面標高差約300m滑走−ヒュッテ−ヒュッテ下南西斜面〜サクラ谷1700m付近まで標高差約400m滑走−ヒュッテ 累計滑走標高差約700m

  6日 快晴 朝は−4℃位

     ヒュッテ−火打山−影火打−賽の河原−焼山北面溶岩台地−アマナ平−笹倉温泉(標高差約1700m滑走)

 

 3日:2日夜は首都高渋滞のため、信濃町IC出口の道の駅には3時頃到着した。少しでも身体を休めるため仮眠テントを張ろうと思ったら、何と今年はポールを忘れた。昨年GWはスキー靴。忘れ物は小生のトレードマークとして烙印されてしまった。リアシートまでリクライニングとなる鶴田高級車の中で、シュラフをかぶり23時間の仮眠。誰かさんは薬を盛られグッスリご就寝。小生は相変わらず前夜発では殆ど眠れず、朝日に輝く残雪の黒姫・妙高を目の当たりに、アドレナリンが徐々に沸いてきていた。

     笹ヶ峰駐車場には7時過ぎには到着したが、除雪は完全ではなく、スペースを確保するのに少し苦労した。トレースのしっかりした心地よい緩斜面ブナ林を他のパーティと相前後しながら進むと、間もなく黒沢の橋である。残念ながらスノーブリッジは無く、スキーを持って渡り十二曲がりの急斜面に突入した。もう少し残雪が多いと黒沢の沢ルートを詰めることができるようだ。30度近い急斜面に重いザック、脚力のある岡田さんのみシール登行を貫いたが他はギブアップ、早々とツボ足に切り替えた。十二曲がりの難所を過ぎると、シラビソ林の軽快な緩斜面シール登行。1日目の最高点富士見平で360度のパノラマを楽しみながら休憩・記念撮影。三田原山・火打山・焼山の雄姿に明日の滑走意欲がそそられた。高谷池ヒュッテには早々到着。重荷に耐えた身体を昼食とビールで癒した。石橋さんは膝の調子がいまひとつ、明日に備え体力温存。他のパ−ティもドップリ宴会モードで盛り上がっていた。休憩で体力の蘇った男3名はヒュッテ周辺の美味しそうな南斜面を楽しまないわけにはいかなかった。標高差100150mの中・急斜面を3本堪能、夜の楽しい自炊・宴会に突入した。

 

  4日:五月晴れが続くツアー日和、満を持していた石橋さんも加わり、火打山・黒沢岳・三田原山を駆け巡り累計標高差1100mを滑りまくった。2030度の中・急斜面、無木立の大斜面・ダケカンバの林間コース、変化に富んだ極上ザラメに思い思いのシュプールを刻んだ。最後の黒沢岳西斜面を滑走後、ヘロヘロになりヒュッテに向かいシール登行。午後4時、長く楽しい1日の締めくくりは冷やしたビールで乾杯!!夜は笹倉温泉から何と標高差1900mシール登行してきた四国の岡田さんと立山以来の半年ぶりの再会を祝し、山スキー談議を肴に大宴会となった。

 

 5日:迷いに迷ったあげく、鶴田・岡田(悦)、石橋の3名は後ろ髪が惹かれる思いで、笹ヶ峰に下山。一日中停滞と思いきや、午前中は曇天・ガスであったがなんとか持ったため、遠路はるばるの四国岡田さんと、累計700mの滑走を楽しんだ。1本目は火打山肩からの南急斜面(前日のルート)2本目はヒュッテ下の南西斜面からサクラ谷に沿った標高差400m。このルートは1日目に上部半分を滑走しており、さらに谷に沿った下部200mの変化に富んだ素晴らしいブナ林ルートを水が出てくる1700m付近まで下った。停滞日どころか、キチガイが二人残るとこのようなルートまで発見できるのであった。ヒュッテへの1時間強のシール登行の途中から冷たい雨が本降りとなった。宿泊人数は前日までの40名ほどに比べ、半数の約20名、宿食のレトルトカレーをたらふく食って明日の焼山北面溶岩台地滑走を夢見ながら早々と就寝した。

 

 6日:さあ、待ちに待った焼山北面溶岩台地ツアーの朝である。快晴・強風のもと前夜からの冷え込みで−4℃。カチカチの雪面と気温の上昇が遅れているため、出発を少し遅らせた。火打山肩への登行は陽がまだあたっておらず、雪面の硬いやや急なトラバース斜面のためかなり緊張したが、肩に近づく頃にはやや柔らかくなり始めてホッとした。山頂への急斜面は早い時間から日当りがよく十分に緩んでおり、アイゼンつぼ足で順調に頂上に達した。この頃には風も弱まり一安心。エントリーポイントの影火打への鞍部までアイゼンのまま下ったが、ふと見ると、ハイマツ帯に逃げ込む黒白まだらな雷鳥に、不安を抱く小生の気持は癒された。笹倉温泉までの長丁場、一昨日、四国岡田さんが苦労してシール登行してきたルートを、岡田さんの指示に従って下ればよいのである。快晴のもと、大船に乗ったつもりでと言いたいところあったが、上部の標高差約200mはさすがに北向き、まだ硬いバリバリの斜面を慎重にゆっくりターンしながらついて行った。右下が急に落ち込むトラバースを過ぎると台地状地形。徐々に雪面の状態も適度に緩み、大回りターンが気持ちよかった。次いで核心部の狭い急斜面(30度強)がかなり下まで延々と続く。すぐに両側に深いクラックの入った部分があり滑走幅は10m弱、慎重にジャンプターンで通過し、広い急斜面に豪快なターン弧を描いた。徐々に傾斜が緩み台地状の緩斜面(溶岩台地)に移行する。振り返ると噴煙の焼山・火打山北面岩壁の雄姿が、北アルプスにも勝るとも劣らない迫力で目に焼きついた。1350mの等高線に沿い左に進み賽の河原を横断、僅かに雪の切れた側壁をよじ登った。北西方向に進みアマナ平に達するころから新緑と残雪のコントラストが素晴らしくなった。林道にでると眼下に笹倉温泉が間近に眺められた。標高600mくらいまで林道に残る僅かの残雪を拾いながら滑走できた。板を担いでの最後の林道下りでは、見事なカタクリの群落に癒されながら、標高差1700mあまりに及ぶ、夢のような素晴らしい山スキーツアーの余韻に浸った。笹倉温泉で汗を流し後は、北陸道経由で長野駅まで送ってもらい新幹線で帰葉した。