ちばやま

ちば山の会2000年3月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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日光光徳XCスキー(2000年2月6日)


 日光には色々な思い入れがある。学校卒業まで栃木で育ったから、小学生の遠足から高校の登山部、そして免許を取ってからドライブと言えばにみんな日光だった。ハイキング・スキー・カヌー・バーベキュー・テニスと取りあえず日光でやれば何とかなる、というそんな感じだった。

 光徳のXCスキーは高校の山岳部に所属していた3年間に、毎年訪れた。なぜかあの頃は、仲間内でゲレンデスキーを否定し、地味なXCスキーにしか行かなかった。お金がなかったせいもあるかも知れない。朝、一番の各駅電車に乗り、バスに乗り継いで光徳までやって来るわけだが、社会人になってからは、良く行ったものだなあと、関心している。3年目の年には、中善寺湖が全面氷結した。文字通りあの広い湖が完全に氷と雪に覆われていた。99年ぶりとのことだったらしいが、確かにこのところの冬の暖かさからは想像し難いことだ。

 その以来、日光でXCスキーをすることはしばらくなかったが、つい2年前、何を思い立ったか、山スキーで戦場ヶ原を徘徊していた。その時は、赤沼茶屋から小田代ヶ原付近まで、夏ではとても入れない湿原地帯の中を自由気ままに歩いたものだ。小田代ヶ原には、写真家が凌ぎを削って撮影を試みる一本の白樺がある。周りの木から孤立し、草原の中に生える一本の白樺は、春夏秋冬、朝昼晩でその姿を変える。微妙な光線とその白樺自身の持つ美しさを捉えようと、写真家が野宿してまで望遠レンズで撮影チャンスを待つ、そんな大人気の白樺だ。そんな白樺も冬が訪れ雪も深くなると、写真家も減り、木の真下まで行ってあらためてその木をじっくり眺めることができた。

 そしてつい先日、光徳で再びXCスキーを楽しむチャンスが現れた。まずは1月の中旬に下見と称して、男体山の裏手にある志津小屋までの林道歩きの工程。雪が少なく、四駆までもが志津小屋まで行くコンディションだった。
 さらに今回は13名ものちばやまの仲間を引き連れての山行。雪の少なさからどのコースを行くべきか悩んだが、光徳のXCコースのすぐ裏手にある山王峠までの道のりを選んだ。林道歩きのためある程度圧雪され、そして林道をちょっと外れれば深雪が楽しめる、なかなかのコンディションだ。日帰りのお気軽ツアーとあって、皆、思い思いに好きなコースを歩いていた。3時間程度で山王峠まで皆、快適に登る。特に小倉さんの復活足慣らし山スキーとしても、適当だったのでは、と思っている。でも本人には物足りなかったかも知れない。

 山王峠は、そのまま栗山側へ降りると夫婦淵温泉まで行けるが、数十キロメートルもの林道でさすがにその先のトレースはない。涸沼と近くの山々のみが見渡せるそこそこの展望だったが、皆満足して元来た道を滑り降りる。
 柴田さんと供に少し遅れて光徳の駐車場まで戻ると、小倉さんの「キムチ鍋」とビールが待ち構えていた。最近はこういう楽しみがないと初めから分かっている山行には、あまり顔を出さなくなっている。「やまや」としては失格だった。でもまあいいか。

 午後2時半頃に帰路につく。いろは坂では男体山の南斜面に広がる大きな谷で、治山用の小さな堤防が沢山目に付いた。男体山のクシャミひとつで吹き飛ぶようなちっぽけな建造物だ。子供の頃から幾つ増えたのか分からないが、相変わらず自然に逆らって無駄な抵抗をしているような気がした。
 「やしおの湯」で一休み、そこから先は千葉へ直接帰る組と別れる。西潟、白井、倉田、渡辺の4名は私の故郷である栃木での2次会に向かって日光を後にしたのであった。

                             渡辺 俊幸


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