ちばやま

ちば山の会2000年4月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

Tel・Fax 043-255-9821


八方の雪洞山行に参加して


 今回の山行は、雪洞を作ることと唐松岳に往復し、また時間があれば雪上訓練を行うという3日間の予定であった。しかし出発前から、期間後半の天気は思わしくないことが予想され、やはりその通りとなってしまい、2日目で下ることとなった。

 18日の夜、事務所を出発し、ゴンドラ乗り場近くの駐車場にテントを張り就寝。19日、ゲレンデを颯爽と滑るスキーヤーを横目に大きなリュックとともにゴンドラとリフトを乗り継いでゲレンデのてっぺんへ。天気は曇でまずまずだが上方は風が強く、雪煙が大きく舞い上がっている。登山道は広くなだらかで滑落をする心配はないが、ガスったり雪煙の中に入ると10メートル先も真っ白で見えなくなってしまう。つい過去の遭難事故を思い出した。渡辺浩之リーダーの離れないで歩くよう指示のもと、強風に耐えながら八方池手前の雪洞予定地へ。今年はやや雪が少な目なのか思うような適地が見付からず、吹き溜まりとなっている斜面に決定した。掘り進むうちに地面が出てきてしまい、なるべく横に広げていった。すぐ隣には橘さんが一人で屋根付きトイレを作成。高梨さんは最後の仕上げを美しく掘ることに専念。蝋燭を立てる棚も作って結局7人分の雪洞を掘るのにずいぶんと時間が掛かってしまった。
 雪洞の中は、暖かいとまではいかないが、テントよりは寒くないという感じ。その後の食事は、食当の広木愛子さんが考えた体の暖まりやすい明太子、キムチ、カレーといった辛めのメニューで心身ともに暖まった。
 天気図ではやはり明日の午後からは低気圧の接近で天気が怪しくなることが予想され、唐松に行くには微妙な天候だが、とりあえず登頂を目指して就寝した。

 深夜、入り口近くで寝ていた渡辺リーダーが雪で塞がれいるのに気が付いて、慌てて入り口を掘り始めた。降雪ではないがもともと吹き溜まりの場所に雪洞を掘ったので、雪が吹き溜まりやすく、そのため入り口が塞がれてしまったのである。一瞬「閉じ込められたか」と焦ったが直ぐに入り口は開けられた。しかし、渡辺さんは雪まみれになってしまい、かなり体力を消耗されたよう。結局、これから低気圧が通過し、厳しい天候が予想されるので、1日早く下山することとなった。
 朝食は、日本人に生まれて良かったと思ってしまうようなとてもおいしい和食メニュー。 雪洞の外に出ると初日よりも風は弱まっていた。雪洞を雪で埋めて出発。天気もまずまずで唐松のピーク、不帰のキレットのギザギザの稜線、白馬三山がはっきり見える。下山するのがもったいなく感じてしまう。ゲレンデまではあっという間に着いてしまった。そこからの下りはゴンドラ乗り場まではゲレンデの脇を歩いて下るつもりだったが、もう途中で疲れてしまい、あとはゴンドラに乗って下りた。気持ち良く滑るスキーヤーやボーダーを横目に「ああ、ゲレンデの上で板をレンタルさせてもらえれば...」と思ってしまう。

 温泉に入った後、車の中から山沿いは雲の中で天気が悪くなっているのが見えた。
 この山行では、雪洞の入り口には何かあった時のためにスコップを1つ置いておがなければいけないということが反省となった。今回は雪洞の外にスコップはすべて出していたので、中から掘るときに別の尖ったものを代用した。また、リーダーを疲れさせてはいけないということ、他の人がリーダーをサポートし実際動くのは周りの人達でなくてはいけないこと、リーダーに頼り過ぎてはいけないと改めて思い知らされた山行であった。
 今、おこたに入ってヌクヌクと暖まりながら原稿を書いているので、あの時の寒さが信じられない。職場で「山の中で雪洞を掘って泊まった」と話したら「えー寒そう。また行きたいと思う?」と聞かれてしまった。わざわざ雪洞に泊まろうとは思わないが、テントを建てられない場合など非常時には役立つ技術だし、結構掘り始めると凝り出したりして、楽しく実になる経験となった。

                             本多 博美


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