ちばやま

ちば山の会2000年9月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

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新歓伝説


 今年の新人歓迎会は8月26日・27日、山梨県三富村、西沢渓谷入口キャンプ場をベースにして行なわれました。新人8名を含む総勢33名の参加者で大変盛り上がりました。おそらくこれまでの最大の「新歓」だったでしょう。

 小野さんの特製カレー・三輪さんの「タコハチ・ゲーム」・本物のブドウ狩り、など楽しい思い出がたくさん出来ました。実行委員の三輪さん・高梨さん、ご苦労様でした。それから食当の柴田さん、突然の法事で、山にも行けず、宴会も出られず、ひたすら宴会の準備だけをして直前に帰りました。これじゃなんのために来たのかわかりませんね。有難うございました。参加者全員、心からお礼申し上げます。

 8月26日(土)沢組(ナメラ沢)、山組(乾徳山)に分かれ、出発しました。
 山組新人・趙 永愛(ちょう よんえ)さんのザックは異常に重いのです。日帰りハイキングなのに冬山なみの重さです。趙さんはこの夏「トレーニング」をしたそうです。北岳と黒戸尾根(甲斐駒)の日帰り、それも土曜日の午後、勤務が終わってから一人で運転をしてです。そんな話を前の晩、車中で聞いていましたので、今回もその延長だろうと思っていました。ところが違いました。
 乾徳山山頂。最後の岩場を登り切って、やっと肩の荷を下ろした趙さんに聞きました。
「一体なにが入っているの?」
 私達は好奇心一杯で彼女のザックを見つめました。
「さあ、なんでしょう?…」
 うれしそうな笑顔とともに彼女が取り出したものは、なんと直径30cmは優に越える特大のスイカ。しかも自宅で冷やしたスイカが温まらないように、たくさんの保冷パック付きです。スイカを切る包丁もあります。いやはや驚きました。型破りの会員が多い山の会、びっくりさせられることはしばしばですが、こんなに驚かされたのは初めてです。
 ほかのハイカー達もビックリ仰天。皆さんにもおすそ分けをしました。すると、カメラを持って来て「記念に写させてください」と、趙さんとスイカを写した人が2人もいました。冷えたスイカのおかげで、蒸し暑い山頂は幸せな気分に包まれました。
 山にスイカを持参することは珍しくないでしょう。でも、10sのスイカを、一人で、黙って、山頂まで担ぎ上げる人は稀でしょう。しかも、ほかの山(丹沢大倉尾根)で10sの水を背負って登り、このスイカ山行が出来るかどうかを試したとのことです。
 いやはや…。なんでそれまでして??
「受けるかなァ…と思って」ご本人は軽く言います。
しかしこんなことは、たとえ思いついても、実行する人は百人に一人いるでしょうか。
 「すみません食べてくれませんか。持って帰るの私、大変なんです。押し売りみたいですみません…」

そんな「お願い」をしながら、趙さんはスイカを配っていました。その姿を見ていて思いました。これは酒好きがビールを持って登るのとは全く訳が違います。トレーニングも、こんなに人をビックリさせ、喜ばせるのは「自分のためのトレーニング」を超えています。 なかなか真似の出来ない、上等な「お遊び」の精神です。趙さんのスイカ。新歓のたびに語り継がれる物語になるでしょう。
         

                             文:山崎 修一

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