ちばやま
ちば山の会2002年3月
千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方
Tel・Fax 043-255-9821
山行報告 八ヶ岳 横岳西壁・石尊稜
日時:
2月9日 参加メンバー:高梨・柘植(記)
天候:
曇りのち雪
記録:9日
美濃戸口6:20→8:50赤岳鉱泉9:15→10:10石尊稜取付12:00→14:30上部岩壁下15:00(撤退開始)→17:00下部岩壁上→17:50石尊稜取付18:00→赤岳鉱泉18:40
赤岳鉱泉から石尊稜へは初めての道だが、事前研究が行き届いていたのと、立派なトレースのおかげで迷わず到着する。取付きにはすでに6人ほど順番待ちをしていた。見上げる下部岩壁は傾斜もそれほどではないのだが、登攀者はえらく手間取っていてとても時間がかかっている。ガイドでは3級+程度のはずなのにナゼ?結局ここで2時間近く待たされてしまったが、自分が取付いてみて理由がよく分かった。スラブ状岩壁には一面に雪が付着しているが、まともなホールドやスタンスがあまりない。両手のアックスとアイゼンの前爪をだましだまし引っ掛けて登る感じでとてもいやらしい。帰ってきて調べたら数年前に草着きが崩落してスラブが露出して難しくなったとか。その上は3ピッチほど雪壁をスタカット、その先はコンテで行く。途中スタカット組みを抜かせてもらうが、上部岩壁近くで再び10人待ちの大渋滞に遭遇する。しばらく模様眺めするが、この調子ではいつになったら順番がまわってくるか分からないし、登攀中か稜線に出た時点で夜になる可能性が強い。横岳の稜線自体が決して易しいところではないことを考慮すると、このまま登攀を継続するのは危険と考え、高梨さんに撤退を打診して下降に移る。
下部岩壁上までは確保しあって下りたため、時間はかかるがどうというものではなかったが、下部岩壁上で薄暗くなり始める。ここは全体的にナナメに登ってきているため、単純な懸垂では下りられない。上部1/3は高梨さんを上から確保して、途中のボルトで高梨さんがビレイ。しかしここを下からのビレイで下降するのは気がめいるので、柘植はザイルを引上げて懸垂で下降。ここでは50mザイルをダブルにすると下までまだ届かない可能性が強いので、さらに少し下ることにするが、懸垂のピンが見つからなければまずいことになる。高梨さんを確保しながら様子を見ているとハーケンを一本見つけた様子。そこならばなんとかザイルは下部まで届きそうだ。本来なら二点以上で支点をとるべきだが、しっかりしていたのと岩壁下が雪の緩斜面なので落ちても止まる確信があったので、一本のハーケンに二人でしがみつく。いつのまにかとっぷり日が暮れて、眼下には茅野周辺だろうか街の灯りがとてもきれいだ。そのころ上からもコールがして、先行パーティーも一部が引き返してきた様子だ。ルートを聞かれるが、登ってきたところを下りろ!としか答えようがない。無事に取付きに着地したときは正直ホッとした思いだった。
ヘッドランプをつけてトレースを追って赤岳鉱泉にたどりつくが、二人とも結構疲労しており、おまけに柘植はどこかでアイスハンマを無くしているため、明日の行動は打ち切ることにする。翌日は幸か不幸か朝から雪で、ゆっくり起きて下山した。バリエーションルートの登高と下降を一日で体験できたのは良い経験と言えるかもしれないが、完登できなかったのは残念!
柘植(記)
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