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ちばやま |
ちば山の会2004年06月
千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方
Tel・Fax 043-255-9821 |
寄沢本流沢登り記録と転落事故報告
2004年5月8日(土) 日帰り メンバー:CL柘植(記)、加藤洋子、石井恵子
寄沢本流はイイハシの大滝(写真)という表丹沢では最大の3段45m滝を有する中級向きの谷。去年から写真を何度も見ては「登りたい」でも「難しそう」の繰り返しであったが、意を決して取組むことにする。石井さんと加藤さんが応じてくれた。10mF1はガイドには逆層でいやらしいとかかれていたが、そのとおりで初っ端から寄沢手強しの印象。F2・F3と快調に超えていくと目の前に大滝が登場。圧倒されるような迫力で、自信がユラユラ。石井さんと加藤さんには、無理そうだったら途中から懸垂で降りちゃうから許して・・・とリラックスしてから1段目の5mをこえる。
核心の2段目25mの下に出て真下から壁を見ると、ようやくルートらしきものが浮かびあがる。加藤さんに確保を頼んで取付く。下部は傾斜がとても強く、ホールド・スタンスも濡れて小さな外傾のものが多い。残地ハーケンやボルトがところどころにあるが、特にハーケンは古くておまけに横向きに岩にたたきつけられたものが多く、カラビナはおろかシュリンゲさえ通らないものが半分くらいある。なぜこんな風になったのだろう?途中で2本打ち足して個人的経験ではとても困難な下部〜中間部を切り抜ける。ピッチグレードは4級上だが、全編そのグレードの印象。上部にいたってようやく傾斜が緩むとともにホールド・スタンスもやや安定したものが得られるようになり、2段目落ち口に出られた。
ビレー解除の合図を送ると下の2人が手を振って応えてくれる。加藤さんに続いてラストの石井さんがハーケンを回収してきてくれて、ようやく3人が揃うといいたいところだが、傾斜したビレイ地点には2人しか立てないので、加藤さんは15mの1段目の釜脇のくぼ地だ。ここからルートは1段目の滝から外れて左岸の岩稜を登る。ここも傾斜は強いうえに、不安定な草つきでまったく気が抜けない。1段目の落ち口上に全員が揃ったのは取付きから2時間以上たっていた。核心部を越えた安堵感もあり、ゆっくり昼食をとる。
その上は小滝のうえに写真でみた堰堤。ここを越えれば川原歩きと小滝を2〜3登って登山道に出られるはずだ。堰堤左岸のふみ跡を柘植・加藤・石井の順にたどる。ふみ跡はしっかりしているものの、取り付いてみると足場がややもろく、木をつかんでの巻きとなる。突然なにか音がしたかと思うと、加藤さんの「石井さんが落ちた!」の声。柘植が急いで引き返してみると、沢底に石井さんが目をつぶって横たわっていた。申し訳なさと後悔の念で胸がいっぱいになる。かけよって声をかけると幸い意識はしっかりしていた。つかんだ木が折れて3mほどのがけ下に転落したのだ。加藤さんも降りてきて、二人で10分ほど付き添うが、腰を強打して立てないとのこと。救助を要請するか、自力で救出するか考えるが、石井さんが落ちた寄コシバ沢は上部で登山道と交差しているので、柘植が背負って下山することにする。加藤さんには3人分の荷物を頼んで出発する。さすがに人一人背負うのは大変だが、以前学んだ方法でゆっくり寄コシバ沢をつめる。
途中チョックストン滝が現れ、これを左岸から巻くことにするが、ザイルをフィックスして加藤さんの支援のもと急傾斜の山肌をトラバースするのはとても困難な仕事だった。ここを越えるとしばらくして待望の登山道に出会う。このときようやく帰還の見通しがたち、じわっと安心感が広がる。石井さんも背中で元気を取り戻してくれた。18時ちかくにようやく出発点の寄沢大橋に到着した。
※石井さんは菊池先生のご尽力で市立海浜病院で緊急の診察を受けることができました。
骨盤骨折でしばらく入院となりますが、とにかく命に別状がなくてよかったです。
菊池先生、本当にありがとうございました。
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