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海南島通信〜おもわず泰山登高記(その1)
春節は中国のみならず東アジア全般で見られる旧正月です。西暦よりも農歴の正月の方が農耕民族には合っているのかも知れません、元旦よりも盛大にバリバリやります。どうバリバリやるのかは後ほど述べさせていただくとして、春節は太陰暦に従いますので毎年時期が異なりますが2005年は2月9日の初一から15日の 初七までが一般的な休日です。
春節が近づくと従業員達は故郷に帰る切符の手配やお土産の選定で勤務中も心ここにあらず、正直仕事になりません。忘年会が終わり紅包(honbao、会社支給のお年玉)を渡すと私もどこかに行ってみたくなりました。出発の前日に航空券と宿の手配を終え、装備を買い込み、残りは現地で何とかしようと、良く言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりばったり、のまさにぶらり旅です。
「泰山鳴動して鼠一匹」の諺や「死は或は泰山より重く、或は鴻毛より軽し(司馬遷)」の言葉で知られる泰山(tai shan)は、中国五大名山の第一山。雲海と御来光の雄大なパノラマが有名ですが、歴代皇帝の封禅(皇帝が太平の世の実現を神前で報告する儀式)の行われる聖地としても名高く、秦の始皇帝、唐の玄宗皇帝など72人の皇帝が訪れています。但し泰山まで出かけるのは面倒だと15世紀以降は北京で封禅を済ませる様になり、これが有名な北京名所「天壇(tian tan)」です。とはいえ、中華文明発祥の地である中原の、そのまた精神的拠り所である泰山には古来より多くの文人墨客が登り、孔子や杜甫の足跡も残っています。
ま、詳しくはガイドブックに譲るとして今回もどうでもいいことを中心に書いていくつもりです。
2月8日除夕 海口市0720→海口空港0800、0850→済南空港1300、1330→済南市(山東大厦)1430
海口から飛行機で山東省の省都、「済南市」に到着、周囲は氷点下、4時間のフライトで一気に30℃以上の気温差です。急な旅の為明け方まで仕事に追われ機内では眠り続けていましたがホテルに着くなり再び眠りの世界に。寒さの余り冬眠状態になってしまったのでしょうか。大分経ってから大きな爆発音で目を覚ましました。21階のバルコニーに出てみると市内中から打ち上がる花火が壮観です。住宅街からは景気のいい爆竹の音が聞こえてきます。今日は除夕(chu xi、農歴の大晦日)、こんな日に寝てなんかいられないし、第一うるさくて眠れないので早速市内へ繰り出しました。訳の分からない我々外国人にとってはとにかく「うるさい」ものなのですが、よく見ると2種類があることに気がつきます。一つは「高昇(gao sheng)」とよばれる打ち上げ花火タイプで、筒の中のものが高く飛び上がる。これはお金が貯まりますようにという願いが込められているそうです。
もう一つは燃やした後に真っ赤な紙が地面に残る、長く連なった「ピリピリバリバリ」タイプの「大地紅(da di hon)」です。別名「鞭炮(bian bao)」といわれるのは実は後者の爆竹タイプで、音や光で悪鬼を退散させ財産や福をもたらす神様を呼び込むと信じられているそうです。この爆竹、結構大きく、小さな物でも親指位、大きな物では魚肉ソーセージ位であり、これと比べると日本の爆竹は横綱と褌担ぎほどの違いと言っても良いくらいです。各家庭では20から100連発の鞭炮を玄関先に吊してバリバリやりますが、正直言って耳が痛いです。結構事故も多いらしく、点火したらすぐに10m程下がらなければなりません。商店などは見栄や競争もあって店先で16連発の高昇を何箱も一斉に点火します。1箱がビール瓶のケース位の大きさで、ビルの10階位まで打ち上がり大輪の花を咲かせるので綺麗ではあるのですが、正直怖いです。中には右の写真の様に店先の大通りを封鎖してやる店もありますが、停められたバスやタクシーの運転手も、そして乗客も文句を言う野暮な人など居らず、むしろ車内から楽しんでいるようです。
2月9日初一 済南市(山東大厦)0915→済南バスターミナル0945、1000→泰安バスターミナル1300→泰安市(泰安賓館)1330
夜半に降雪があり静かな正月を迎えられる、と思ったら大間違いで4時頃から再び鞭炮が響き出します。昨日、深夜まで歩いた為、朝寝坊し遅い朝食を取りますが、レストランの中が随分静かです。それもそのはず、春節は家族一緒に過ごすことが多く、1,000人以上収容出来るこのホテルも昨夜の宿泊客は私を含めて僅か12人。従業員の方が多い有様です。結局チェックアウトしたのは9時。長距離バスターミナルからバスで泰安に向かいますが降雪の為、高速道路が封鎖され下路を延々と3時間かけて移動します。更に泰安の町でタクシーを拾い登山バス乗り場に向かったら運転手さんから、「今日は登山バスはやっていないぞ」と言われてしまいました。前夜の雪で路面凍結した上、初一で除雪要員が確保出来ないとのことです。初一からこれでは今年の行く末を本気で心配してしまいます。仕方なく頂上ホテルをキャンセルして泰安市内のホテル、泰山賓館を確保、今宵の宿としました。
時間をもてあましたので封禅の儀式を執り行ったという岱廟をそぞろ歩きしていると真っ赤な山査子(さんざし)飴の色が私の目に飛び込んできました。 中国語で「氷糖胡芦(bing tang hu lu)」と呼ばれている、山査子の実を串刺しにして水飴でコーティングした中国北部の伝統的な冬のお菓子です。山査子飴の屋台に近づき、傍らに座っている屋台のおばちゃんに写真を撮ってもいいか聞くと、人の良さそうなおばちゃんは快く応じてくれました。そしておもむろに立ち上がって1本を手に取り、「食べてみるかい?」と勧めてくれました。頬ばろうとしますが、水飴がガチガチに固まっていて歯がたたない。四苦八苦しているとおばちゃんに「しっかり噛みつけ」と笑われてしまいました。水飴の甘さと山査子の酸っぱさが絡み合った山査子飴は、別に中国で生まれ育ったわけでもないのに、どこか懐かしい味がしました。
5月号につづく、お楽しみに!
北爪(記)
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2005年 千葉県勤労者山岳連盟 ちば山の会
http://www.chibayama.com