Welcome to Chiba Mountain Climbing Club!!
 ちばやまの会とは 会報「ちばやま」より 山の会写真集 リンク集
掲示板 これからの山行・行事 お気に入りの山 HOME

栂海新道山行報告

メンバー: 菊池単独
日時: 2005年7月27日(水)から30日(土)
行程: 27日(水): 千葉6:38発あずさ3号−南小谷−平岩−バス−13:30蓮華温泉;蓮華の森キャンプ場テント泊
28日(木): 蓮華温泉5:00−12:42朝日岳−13:50朝日小屋(テント泊)
29日(金): 朝日小屋4:00−朝日岳−アヤメ平−黒岩平−犬ヶ岳−12:10栂海山荘−14:05黄蓮の水場−下駒山−16:42 白鳥山;小屋泊
30日(土): 白鳥山荘5:00−6:05シキ割の水場−坂田峠−尻高山−10:23親不知海岸


 昨夏の新歓で、酒を酌み交わしながら窪田さんが熱く語った栂海新道に憧れ、情報収集・計画は練ったものの、日程が近づくにつれ、体力・水・ヘビなどに対する不安が増していた。前週の白馬三山縦走の際、10数名の横浜からの高齢者グループが親不知から栂海新道を辿り白馬山登頂、その満足感溢れる表情に触れ、私の決心も確固たるものとなった。3泊4日の食料・行動食・テント・シュラフカバー・インナーシュラフ(シュラフは持参せず)、水3〜4Lを加え最重量約20kgであった。今シーズンは山スキー、6・7月の花を愛でる山行を精力的にこなしており、身体も昨年暮れに比べ3kgくらい絞れており、体調は良好。「焦らずマイペースでゆっくり」をモットーに出発した。

1日目:7月27日(水) 晴れ

 台風(6号)一過の好天、あずさ3号で一路南小谷へ、糸魚川行きに乗り換え平岩駅下車、駅前の商店でカップヌードルと缶ビールを2本購入。昨年より乗り継ぎのよくなったバスに乗り、間もなく出発となった。客は蓮華温泉ロッジ宿泊の家族づれ4人と小生と同じ単独テント泊の若者一人の計6名であった。バスの中で、ビールで喉を潤し、GWに木地屋から蓮華温泉まで山スキーのシール登行で辿ったルートを思い浮かべ、やがて眼前に姿を現した残雪を抱く朝日岳・雪倉岳を遠望し、明日からの厳しいであろう山行に、心を引き締めた。

温泉ロッジからキャンプ場に通じる道路を歩き始めてすぐ、日当たりのよい路上に長いものがウネウネ。いきなり青大将の歓迎を受けてしまった。もう覚悟を決めるしかない。テント設営後、兵馬ノ平,滝見尾根を巡る2時間弱の周回コースで足慣らし、テント脇の冷たい小川で冷やしたビールとレトルトカレーで前夜祭、快適な夜を過ごすことができた。設備の整ったキャンプ場であったが、平日のためか小生を含め単独の登山者の3張りのみであった。千葉から蓮華温泉までの交通費は約1万円であった。

2日目:7月28日(木)晴れ

 5:00出発。兵馬の平から瀬戸川に下り鉄橋を渡り白高地沢に架かる鉄パイプの仮橋を渡った。昨夏の朝日・雪倉山行の時も同じルートを辿った。今年のGWにも蓮華温泉から朝日岳までシール登行した。3度目である。昨夏は曇りから雷雨の中、GWには白高地沢より西のルートであった。重荷を背負い樹林帯の急登をゆっくり登ると五輪尾根である。今日は台風後の乾燥した視界の効く絶好の登山日和である。高山植物の向こうに残雪と緑のコントラスト鮮やかな雪倉・朝日がくっきり。西には湿原の向こうに雨飾・妙高の山々のシルエットが素晴らしい。明日からの不安もあるが、来てよかったなあ!! 漸く到達した稜線の栂海新道との分岐点では、朝日岳の岩壁を左に、日本海の遠望をバックに割れた残雪とコバルトブルーの池が、額の汗を一気に拭い去ってくれた。山頂への最後の約1時間の登りはコバイケイソウ、残雪、白馬・旭をデジカメに納めながらの楽しい登りであった。12:42登頂、昨夏・GW・今回を含め何と1年間に3度目である。

 朝日小屋のテント場では6〜7張り。そのうちの3張りは栂海山荘からの単独3人のものであった。若い男女1人づつと、60歳前後の男性で、親不知から頑張っており、好天のもと黒岩平・アヤメ平などの素晴らしさを絶賛していた。30過ぎの若い男性は何と30数kgを背負い上高地まで南下する計画とのこと。昨夜は雨のためやむなく栂海山荘に泊まったが、1階では、ネズミのお祭り状態で夜中に2階に移動したとのこと。明日の天候が下り坂のようで、栂海山荘泊ではいやだなあと不安になった。 キャンプサイトでドコモの携帯がなんとか通じる所があり(日本海に面した、黒部市か朝日町方面が見えるところで)、iモードで岳人の山の天気を調べると、朝日岳は明日午前中はまあまあであるが、夕方は雨か。白馬は曇りから下り坂予報であった。「とにかく明日は早く出発し、できれば白鳥小屋まで行こう。停滞することもあり、食料が少し不足するかも。」このように考えると不安になり、朝日小屋で明日の昼弁当とリッツを購入した。

 夕食は4時半頃より開始。ポリ袋に入れた残雪でギンギンに冷やした500ccのアサヒ生、肴はセグロイワシの干物と、ナッツ、雪で冷やしたキュウリ半本など。お湯仕立てのアルファー米(2人分)、レトルトのマーボ豆腐。携帯ラジオで高校野球の富山大会決勝・ニュース・天気予報などを聞きながら、ゆっくり楽しんだ。風も弱く、比較的暖かな夜であり、雨具を着てシュラフカバー・インナーシュラフで寝たが快適であった。

3日目:7月29日(金)曇り時々雨

 朝食は昨日の残りのご飯とふかひれスープ・塩・粉末醤油少々で作ったオジヤ。黒岩平に水場があるが、約3.5リットルの水をザックにいれ4:00出発。昨日踏んだ朝日岳山頂で日の出が見られた。栂海新道入口までの下りは朝日に照らされた雲・残雪・山肌など、山の早朝の良さが十分堪能できた。栂海新道に入る頃より徐々に雲が多くなり、これから向かう山々が雲間からの太陽の光に照らされ、濃淡のシルエットになっていた。しばらく行くと残雪を10mばかり下ったところに見事なお花畑が現れた。アヤメ平の入口である。紫のアヤメ・橙色のクユマユリ・白・ピンクなど残雪の脇に極彩色を披露していた。草原ふうの台地を更にゆっくり下っていく。雨が降り始めカッパの上着を着た。おかげで暑くなく、楽であるが、やや残念、水場の黒岩平の入口で小休止。弁当を1/3ほど食べ水を補給。黒岩平の終わりのあたりで振り返るとニッコウキスゲの向こうに、下ってきた山々の上方に雄大な朝日岳が見渡せた。黒岩山(1623m)を過ぎるとアップダウンの繰り返しが多くなる。雨もやみ、天気は小康状態、薄日もさしてきた。サワガニ山を越え、北俣の水場の分岐点で休んだ。小生より後で朝日小屋を出発した単独2人(小屋泊)もこの場所で休憩した。弁当の残りを食べた。水は黒岩平で補給し、まだ3リットル位残っている。栂海山荘まで約30分であり、まだ12時前。体力的にも白鳥小屋まで大丈夫と判断。途中で水場があるため、ここでは水を補給しなかった。犬ヶ岳(1593)の頂上を少し下ったところに栂海山荘があった。先行の一人はここで膝が痛くなり先に行くことを断念。小屋を覗くと床は綺麗に張り替えられており、ネズミのお祭りなど信じられなかった。

 さてここから、アップダウンの更に激しい行程約3時間半が残っている。気合を入れていざ出陣。栂海山荘をでると、樹林帯の急下降。暗い雲や、薄日に照らされたり、標高が下がるにつれ蒸し暑くなってきた。約50分で黄蓮の水場に到着。周囲は素晴らしいブナ林である。午後1時を過ぎ水の消費も多くなっている。この水場は立派な沢で水量も十分(雨が少ない夏期は枯れるかも)。頭を洗い、体を拭い、水をたっぷり飲んだ。キュウリ半分を冷水で洗い塩をふりかけ食べた、旨い。水を補給しtotal 4.5リットル。休憩を十分とり重くなったザックを担ぎ気合を入れなおして出発。

菊石山(1209m)を越え下り、下駒山(1241m)への急登。ガレ場の脇を通り、40度強の木の根と露岩の急斜面を喘ぎ喘ぎゆっくり這い登った(標高差約100m)。その後再び下り、これまた標高差約100mの白鳥小屋までの最後の登り。残ったエネルギーを振り絞り、午後4時40分、長かった1日の行程が漸く終わった。

 栂海山荘から白鳥山(1287m):小屋までは暑くアップダウンが極めて激しく、水の消費が多かった。また例のヘビもこの間にマムシ・ヤマカカシ(黒く太い)?・小さなヘビの計3匹にいずれも日当たりで遭遇してしまった。 小屋は快適そのもので、朝日小屋からの70歳の単独者と2階に陣取った。1階には、親不知からの単独が一人で計3人であった。喉がカラカラ状態、ウイスキーの水割りを3杯、レトルトのわかめご飯、コンビーフ、玉子スープで夕食を済ませた。翌朝分のため水を約2リットル強残した。

 同室の70歳の方は、横浜・弥勒の会のメンバーである。この会は平均年齢が60歳以上の800 名を越す会員数を誇り、多岐に渡り活動している。先日の白馬山頂での親不知からの十数名も同会のメンバーで最も強者揃いのSグループでテント泊にこだわり、自分は説明会にでたが、ついていけず単独行となったとのこと。グルメの計画なども積極的に企画しており、多彩な活動がこの会の特色で、20数年続いているとのこと。全く驚きの会である。楽しい語らいの一時を過ごし8時過ぎには就寝した。

4日目:7月30日(土) 曇りのち晴れ

 夜中の大雨も上がり、5:00最終日4時間余りの行程が始まった。雲間の山上におぼろげな日の出が見られた。水の残りが1リットル余り、約1時間で小沢の脇に注ぐシキ割の水場に到着。予想に反して徐々に良くなる天気と、気温の上昇により水の消費が急ピッチとなり始め、十分水の補給を行った。水場を過ぎると、坂田峠までの標高差300m、階段・ロープ・ハシゴなどのある急坂であり、太腿への負担を最小限にするよう心掛けながらゆっくり下った。標高620m位の坂田峠で舗装道路を横切り、お地蔵さんを拝みながら休憩を取った。この後の約1時間40分の行程では、尻高山までの少しの登りのあとは小さなアップダウンはあるが、ほぼ下りとなっている。無風の樹林帯を黙々と下降、二本松峠を通過しさらに高度を下げ、杉林を過ぎると親不知ホテルを正面に、国道8号脇にでた。あと十数mで登山口までのフィナーレである。国道沿いのコンクリート壁の脇を登山口に向かう途中、何と今日はじめてのヘビ(マムシ)の手厳しいお出迎えである。右のコンクリート壁に沿ってこちらに向かってくる。脇を通るにはちと狭すぎる。困った挙句、コンクリート壁の上に上がり、そのまま登山口まで行き飛び降りようとも考えたが、3m位あり無理である。マムシのいた辺りを上からストックでつついてみたが、すでに姿を消していた。すばやくコンクリート壁を飛び降り、登山口まで一気に走ってフィナーレ、ああヤレヤレ。

 そのあとホテル脇から標高差約50mの階段を最後の頑張りで、海岸まで降りた。正真正銘、標高0の親不知の海岸である。記念写真を撮ってもらい、パンツ一つで念願の日本海にドボン。新潟市で育ち、自宅から5分の日本海で毎日泳いでいた。1分間の海水浴であったが、子供の頃が思い出され、夏の日本海は本当に気持ちよかった。ホテルで風呂(駅まで車での送りをセットで1500円)、生ビール3杯・刺身定食で疲れを癒した。糸魚川で湯沢までの特急に乗り、新幹線に乗り換え自宅には8時前に着いた。

 今回の山行は結果的には比較的暑くなく、体力の温存ができた。水は十分過ぎるほど担いだが、ポカリスエットや茎わかめ、乾燥梅干などの塩分も補給。ビィダーなどのゼリーを1日2個、乾燥バナナ、柑橘類のゼリー菓子、キュウリなど食べやすい行動食を持参したのが良かったと思われた。


                                 菊池

目次へ


2005年 千葉県勤労者山岳連盟 ちば山の会 
http://www.chibayama.com