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清津川支流釜川・右俣遡行

山行日/ 8月19日〜21日日
参加者/ CL:藤木、SL:上茂、辻本、長池、小俣


 月曜日の朝、3日ぶりに白髯混じりの頬に電気剃刀をあてながら、釜川での雷雨や、濁硫と化したゴルジュを思い出す。

 うとうとした眠りから覚めたのは、塩沢石打ICを過ぎた辺りだろうか。時間は午前12時を少し回ったくらい。長池氏の運転で西千葉を9時過ぎに出発。CLである藤木氏の我が儘からレインボーブリッジを渡り、お台場ナイトビューを楽しみながら首都高の渋滞に突っ込んだにもかかわらず、意外と早いIC通過だ。いつの間にかドライバーは藤木氏に変わっている。津南の山間部を満月の明かりに照らされながら快調に走り、午前1時過ぎテント場に到着。缶ビール1本を呑んだ後、早々にシェラフに潜り込む。

 明けて20日、快晴。7:30に沢支度を整え、荒れた林道を下る。入渓は7:48。

釜川は水量が多かった。左岸に取水路を見送り、大岩の渓中を行く。増水のためか昨年と違いCLが思っていた水路に入れず、なかなかルートファインディングが難しい。一度休憩を取り、8:50右俣出合いに到着。

 右俣に入り、まず釜を持った4m程の滝は、釜の右側から泳ぎを交えたヘツリで取りつき登る。次のゴルジュでは小俣さんがうまく泳げず、少々、水を飲んでしまった。プールでは泳げるそうだが、川は流れがあるのでなかなか進まず、その内あせってしまいバタバタしてしまったそうである。流れる水に対する恐怖心を取り除かないと、渓では難しい。会でザックピストンやロープ渡渉、ラッコ泳ぎなどを交えた渡渉訓練をやるのがのぞましいと思う。

 渓が左に曲がって狭くなり左岸を遡行できず、右岸へのトラバースは水勢が強く、CLがハーケンを打ってロープを張り右岸の壁を登る。その後、トロ場での休憩の際、CLが飛び込み、泳ぎの実地講習。私もザックを背負い、足を使わない平泳ぎを披露。飛び込んだり、潜ったりと遊びながら水の恐怖心を取るのが一番。

 F1、F2、大釜、それと小滝群やゴルジュ内をCLのみごとなリードで遡行が続くが、三つ釜の大滝手前の2m程のナメ滝を越える際、小俣さんが足を滑らせ、ウォータースライダーになったナメ滝から釜に落ちる。幸い釜が浅く立つことができたが、本人の表情は真剣そのもの。CLの適切なアドバイスにより、そのナメ滝を無事通過する。これを過ぎると両岸に大スラブ帯が広がり、三つ釜の大滝が眼前に現れた。ダイナミックに白く水を輝やかせながら落下する三段の滝は、とても美しく何物にも劣らぬ自然の彫塑であり、渓を遡行する者には最高の贈り物であった。

 しばし滝のビューを楽しんだ後、右側のリッジを登りヤド沢との合流点辺りで昼食とる。ここでヤド沢をエスケープするか本流を行くか、天候とメンバーの調子を見てCLが悩む。ヤド沢には60mの滝があると先行パーティからの情報を得ていたが、遡行記録がなく万が一のことを考えると悩むのも当然だ。私はたとえアクシデントがあっても昨年と同様の遡行時間でここまで辿り着けたのなら、本流を行こうと進言。CLも覚悟を決め本流を遡行することに決定。小俣さんも食事休憩が効いたのか、すっかり落ち着いた様子。

 三つ釜を過ぎるとナメ床や滝で快適に遡行が続くが、少々ピッチが遅いと感じる。河原状になったところを過ぎると再びゴルジュになり、深い釜をもった6mの滝はとても登れず、右岸のルンゼからCLの出すロープを頼りに登る。次のF5−8mは右岸に3箇所支点を取り、トップロープで登る。12m滝、二条の小滝、3mのナメ滝、6mの2段滝と続き、12mの直爆は右岸側の草付をザイルで登る。登り終えるとツノが幅広の珍しいクワガタ虫を腕に付けてCLがじゃれていた。上茂さんが写真を撮ってからクワガタを元の木にリリース。緊張感が続いていたので、気が休まるタイミングであった。

 16:00そこから懸垂で降りると、右岸より滝をかけ清水沢が出合う。清水沢を過ぎて10分ほどすると雷鳴と共に雨が降ってくる。ピッチをあげ雨中を行くが、稲妻と雷鳴が近くなり巨岩の下に退避。雷鳴が遠のくと進み、近づくと退避を繰り返し、やがてトロ場を肩まで浸かりながらゴルジュに入るが、水はだんだん茶色く濁ってくる。左岸を微妙なヘツリで進むうち、CLが戻ってきて「もう駄目、撤退。」思わず前方の小滝を見ると、濁流が轟々と音を立て、今にも襲いかかろうと猛り狂っている。こりゃ駄目と撤退を決めるがヘツリで戻る余裕はなく、濁流に飛び込みザックの浮力を頼りに下流に流されながら、水芯を避け左岸の河原に逃げた。

 ラッキーにも河原にはルンゼ同様の枝沢があり、地形図で確認した後、150m上の林道目指して登る。急峻な枝沢の崩壊に怯えながら、濁水の小滝をシャワークライムで越え、藪を漕ぎ、枝を掴み、足を泥に突っ込みしながら登り、ヒィヒィと喘ぎ声を上げて17:40林道に出る。

 林道では雷雲は通り過ぎ、遠く北方に虹がかかっていた。周りを見る余裕が出た後、とにもかくにも無事を喜びあい、みんなと遡行終了の握手を交わす。その場は落雷が怖いので、暮れ行こうとする林道をテント場を求めて40分ほど下り、平らで広くなった好ポイントで設営。濡れたウエアを着替え早速、宴会が始まる。宴が盛り上がるにつれ、緊張感を解かれたサリンガスが、笑い声と共に誰かれとなく噴出する。

 外に出ると中空に満月が煌々と輝き、垂れたこめた霧におぼろげにダケカンバが浮かぶ。ここで長池さんが昴を口ずさみ、ロマンティックな夜を演出する。成し遂げた充実感に酒が手伝い、全員が青年に戻ってはしゃぐ。

 翌日は7:00に下山を開始し、下ノ代の池糖を見学しながら10:00に駐車場に到着。

 津南の温泉と蕎麦を楽しみ、運転を交代しながら16:00帰葉。


                                 辻本

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2005年 千葉県勤労者山岳連盟 ちば山の会 
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