ちばやま |
ちば山の会1998年6月
千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方Tel・Fax 043-255-9821 |
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<<春山合宿>>
1 春山合宿報告書 その1
記 暴風雨の為、決して表にてなかつた元リーダー
5月1日夜…さあ今夜を入れて5日間の合宿の始まりである。
早朝3時頃扇沢に着いた。扇沢で待ち合わせていた渡辺俊ちやんと彼の友人であるケビ ンと合流。みんなで装備、食料(食料20人分、ビール3ケース、日本酒8升、ウイネ キー4本…今回酒だけは切らしてはいけない、という趣旨のもとに用意したのだが、後 で買いにいくはめになろうとは思わなかった)そしてテントなどの共同装備を分け、黒 部アルベンルートに向かう。自分にとつては1年半ぶりのアルペンルートだ。何度来て もこの場所だけは飽きない。大規模な自然破壊のものであるが、単純にそれだけでは計 れないスケールがあるような気がする。乗り継ぎの度にこれから始まる春山合宿の情熱 が盛り上がつてくる。
室堂着、天気は今一歩ではあるが、縦走組、山スキー組(小倉さん夫婦、渡辺俊、竹 内)とに分かれて一路雷鳥平へと向かう。途中先に入山している山スキー組のリーダー の西山君に無線連絡で雷鳥平に着いた旨を知らせ、早速テント設営に入る。20人の大 パーティーなので、カマ天、ジヤンボエスパース、4〜5人用エスパースの3つを張り 、かなり頑丈な風除けブロックを周りに構築した。テント場の裏には富樫さんが先頭に たって雪のイーグルを作っている。イーグルの天井には途中で拾ったブルーシートを使 った。メンバーを各テントに振り分けても時間があるので、山スキー組は一ノ越まで、 縦走組は室堂乗越まで雪上ハイキングと洒落こむ。室堂乗越まで出ると北方に剣岳が見 えた。例年より雪が少なそうだ。グリセードをしながら下る。中畑さんが結構うまい。 初日の足慣らしを終えテント場着。山スキー組が帰って来ていないが先に乾杯の「練習 」をする。そして楽しい夕食の準備だ。今回の食料担当は小倉笑子さんだ。何せ20人 分である。今日のメニューは天ぶらに小倉風特製牛丼である。食べた者でなければわか らないだろう。この大自然の中でフキの天ぶらをつまみに酒を飲む幸せは。いつまで幸 せに浸っているわけにはいかない。気象担当の西山・渡辺純子両名の引いた天気図によ ると、日本全国を寒冷前線がすっぽりおおい、朝鮮半島の辺りに低気圧がウロウロして いる。今夜は大荒れ明日は停滞になるかもしれない。夜半に入り強風が各テントを襲い はじめた。各テントのメンバーがテントの補強をしている様子が分かるが、わがテント の住人は誰も起きる気配がない。すこしウトウトしていたらだれかの大声がし、どうや らイーグルの屋根が飛ばされたらしい。様子をみていると皆で協力をしてかま天に移動 しているようだ。イーグルの住人は倉田、竹内。屋根が無いのに大雨強風の中、しぶと く寝ていたと次の日笠原さんから聞いた。
夜が明けてからも風雨が収まる様子はない。5月3日は停滞と決まった。各テントと も昨夜からの雨でびしょびしょである。隣のテントでは、西山明子さんが救急法の臨時 講習会を開いていた。かま天ではどうやらトランプを始めたようだ。わがテントでは朝 から宴会を始めている。昼すぎからすこし風が弱まり、各テントの移動、整地を始めた 。気象担当の話ではどうやら明日は好天が望めそうだ。テントの補強も終わり夕食の支 度が始まる。今日は特製餃子だ。また酒が進む。明日の予定を簡単にすませる。西山夫 婦・倉田組は別山尾根経由で剣を目指す。山スキー組は一ノ越経由雄山、縦走組は剣御 前経由奥大日岳である。夜まですこし雨がぱらつく。
早朝3時半に剣組が起床。表に出てみると空は満天の星空である。2日間の悪天を忘 れさせる絶好の登山日和だ。隣のテントからは山崎さんが起きて星を眺めている。前日 とは違い天気は良いがかなり冷え込む。朝食、今朝のメニューは焼きそばと蟹雑炊であ る。ソースの香ばしさが食欲をそそる。大日岳のメンバーは、富樫、渡辺、広木(笠原 、山崎、中村、渡辺純、東方、藤日、十柴日、小高、中畑、そして外人招待選手のケビ ンである。傾斜の緩い斜面をゆっくり登る。途中夏道に出てしばし渋滞する。後ろを見 るとズラーとダンゴ状態である。2時間位で剣御前にでた。みんな剣を目前にして大喜 びである。眺めて喜ぶのも良いが、是非とも登って喜んで貰いたいものだ。大文夫、こ のメンバーだったら必ず登れる!! 剣御前を後にして今来たルートを稜線まで戻る。 稜線でパーティーを2班に分ける。脚のはやい班は広木さんが、のんびり組は富樫さん がリードする。何回かの登り下りを繰り返し12時半頃頂上に到着。しばらくすると最 終組の二人、富樫、笠原に前後を守られ東方さんが到着! 全員で喜びを分かち合う。 登山という行為の中の一番のクライマックスの時だも憩いの一時を通ごしていると藤田 さんが歌を歌い始めた。初めて聞く歌であつたが、心にしみる。確か槍合宿の時も頂上 で独唱していたのを思い出した。なごり憎しいが頂上を後に下山を始める。山スキー組 はすでに雄山の登頂を終え、ベースキャンプに着きシュラフを干してくれてるとのこと 。3時頃べースキャンプ着。疲れた。時間が早いので皆思い思いの時を過ごす。ヒュッ テの温泉にいくもの、ビ―ルを飲むもの、スケッチをするもの、馬力のあり余っている 者は、また剣御前の稜線方面にスキー組を追って行った。やいのやいのと過ごしている と剣組が下山して来た。朝4時からの12時間行動の後の下山である。西山夫婦、倉田 、みんないい顔している。これで20人全員下山だ。
最後の宴会は表でやる事にした。ここで少々困った問題が起きた。酒が足りそうもな いのである。西山と竹内が走る。さすがに表での宴会は寒く早々にテントに入る。今回 の山行ではまともに動いたのは一日しかなかつた。しかし、山は居るだけで経験に成る ものである。あの暴風雨、新人にとっては少々辛い洗礼であつてかも知れないが、経験 はこやしだ。この先今回の新入達、多少の雨風位ではビクともせず安眠を貪る事が出来 るであろう。大町の温泉に浸かり家路へと急いだ。