ちばやま

ちば山の会1998年10月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

Tel・Fax 043-255-9821

<<マッターホルン:ヘルンリ稜>>    第3部:  1998年8月1日〜1998年8月9日

 ソルベイ小屋での一夜は、とても長いものに感じられました。最初の2時間位は、疲労の為かぐっすり 眠る事ができました。しかし、一度目が覚めると、いろんな事が頭の中をぐるぐる回っていきました。こ のまま日本に帰れば、「登れなかった」という報告をしなければなりません。その事が、とても嫌な事に 思えました。山仲間は勿論の事、会社の人の顔まで浮かんできましす。  ユースで会った人の言葉も思い出してきます。その人は、マッターホルンを目指しながら、天候に恵ま れず、帰らざるをえなくなりました。それにも関わらず私達を励ましてくれました。「同じ夢を持った者 として頑張ってきて下さい」と…。そして、7日の夕方には、船橋山の会の末吉さんと会う約束もしてい ました。  末吉さんと初めて会ったのは、私達がヘルンリ小屋に来た日(8/5)でした。その日、末吉さんは、 単独でヘルンリ稜を登っていました。私達が偵察を終え、夕食を摂り終わった後、外に出てみると、ヘル メットに「船橋山の会」と書いてある人がいました。その人は、今、登って下りてきたばかりという感じ でした。それが末吉さんでした。今回の末吉さんの目的は北壁にありました。『マッターホルン北壁』。 以前から私が目標として抱いている壁です。求吉さんの凄い所は(それだけではありませんでしたも何と、 「3人で北壁に行こう」と言ってくれた事です。しかも、今回初めて会うた私達にです。やはり、単独で 行こうと思っていただけあって、かなりの実力なのだと感じました。しかし、さすがに今回いきなり北壁 というのは勘弁してもらいました。私自身、装備を持ってきていなかったし、何よりも、技術的に不足し ていると思っていましたから。しかし、非常に残念でした。それでも、『マッターホルン北壁』がぐっと 近づいた気がしました。北壁は、次回(来年)という事にして、一応、7日の夕方に会う約束をして、私 達は、ヘルンリ稜に行く事にしました。  そして、6日のアタック日を迎え、途中で断念し、ソルベイ小屋まで引き返してきたのでした。行こう か戻ろうか決められないまま横になっていると、ソルベイ小屋に人が入ってきました。ヘルンリ小屋を出 発してきた、朝一番の人達でした。私は決めました。頂上を目指そうと。正午(12:00)をタイムリ ミットとし、行ける所まで行こうと思いました。昨日行った所よりも少しでも、距離を延ばそうと思いま した。 8月7日朝7時頃、私達は、再びマッターホルンの頂を目指して登り始めました。                                   第3部終了。
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