ちばやま

ちば山の会1999年7月

千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方

Tel・Fax 043-255-9821


四阿山バスハイクとエスカレート・ルート


 いちめんにクマザサの斜面が広がって、さわやかな風がわたっていく。青い空には白い雲。
まるで絵に画いたような景色の中を、カラフルな行列がつづく。根子岳を目指して。
 バスハイキングは一般参加者38名、会員19名が参加した。
申し分ない天候と、四阿山という、まさにバスハイキング向きの山。さらにレングツツジ・イワカ ガミなどのたくさんの花たちが迎えてくれて、大成功だった。

 四阿山の山頂には、予定よりも大分早く着いてしまった。一般参加者の皆さんは、私たちが思っ ていたよりも健脚だった。そして「根子岳も行きたい」という声が出てきて、山頂で希望者を募つ たら、なんと34名が行きたいという。もともと四阿山・根子岳はセントで日帰リハイキングコー スになっている。私達も下見山行の時、やはり根子岳をまわって帰った。まだ時間も早く天候も安 定している以上、お客さんが行きたいと言うのも当然だ。行かない人(4名)には会員(2名)が 付き添い往路を下ったが、大半(51名)は根子岳に向かった。

 ここでルート変更の問題がでた。当初の計画は四阿山ピストンである。
山行規定には山行計画書提出後の「変更」については、「山域の変更は原則として見とめません。た だし、緊急時等のルート変更はリーダーの権限に属します」とある。緊急時のルート変更とは、エ スケープ・ルートのことだ。今回のような緊急時とは正反対の、超ラッキーな時のルートの変更は、 緊急時等の“等”に含まれるのだろうか? 山に行けば、予想外の好条件もたまにはある。
そのとき山行計画書に書いていないルートを一切禁じたら、実に窮屈だ。

 山行計画書を書く時は、標準的なルートを考える。計画段階では、悪い状況を基準にして考え、 予想外の好条件を前提にルートを考えることはしない。だから山に行って予想外の好条件に足を延 ばす事は現実にある。エスケープ・ルートならぬ「エスカレート・ルート」だ。

 ではどこまでエスカレートが許容できるのか?
遭対基金管理委員会の桑村さんに今回のケースを聞いてみた。
“今回お問い合わせのケースは、給付の対象の内になります”とのご返事を頂いた。
また、今回のお客さんたちには、会員の高知尾さんが勤務される富士火災の国内旅行保険をかけた。 お話を聞いてみたいものだ。
 会員の皆さんは、どんなときに、どこまでエスカレートを認めるのだろうか、リーダー部のご意 見も聞きたい。

 ヒトは山に“行く”のではなく山に“帰る” のだという。
なぜなら私達はみんな“サル”だからだそうだ。(文集とうげ・竹内香代子「みんないっしょ」から) サルの自由を求めて山に帰る。が、サルになりきる事も出来ず、ヒトは里に帰らざるを得ぬ。
それにサルだって木から落ちる。ヒトは、もっと落ちる。
それなら山など行かなければいいようなものの、山への欲求は、ヒトの心の深いところに根ざす。

 もし根子岳の途中で事故が起きたらどうなるか? リーダーはたいそう悩んだと思う。
おそらく万が一事故が発生したら、すべての批判を受け、責任を取ろうと覚悟しただろう。
山に行くのも、やっかいだ。

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