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【山域】 | 秩父 | |
【場所】 | 荒川水系大洞川支流・和名倉沢 | |
【登山方法】 | 沢登り | |
【日時】 | 2008年5月3-4日 | |
【メンバー】 | CL辻本・上茂・野口・堀(会員外) |
2日夜7時過ぎに千葉を発ち、池袋で友人を拾い、秩父駅前の居酒屋で野口さんを拾
いし、深夜12時半大滝温泉・遊遊館の屋根付き駐車場で幕営。シトシトと降る雨に、回復
予想の遅れを心配する。昨日からの雨量を合わせ、増水への危惧があり、入渓を一日順延も
話し合う。 そんな危惧も夜明けと共に騒ぐイワツバメの鳴声に起され、早々にテントをたたみ大洞川近くの駐車場へ逃げる。co680の駐車場から大洞川に懸かる吊橋まで130m下降。吊橋を渡り登山道を辿り、和名倉沢に入渓(7:45)。渓は轟々と音を立て、水量豊富に流れていた。遡行は大きな渕を持った小滝とゴロタ石が連続する渓相から始まる。水量の多さから 水線通しには遡行しづらい。7mほどの滝をチームワークと残置ロープで越えると、左岸から石津窪に出合う(8:50)。ここまで入渓点から100mほどの高度差だが1時間を要していた。 その後も15m程の滝や2m〜3mの小滝、7〜8mの滝が間断なく現れるが、水量の多さからほとんど 巻きを強いられる。よく「通らず」と間違えられる15m、10m、10mとナメ滝は登る事ができた。 そして(12:10)いよいよ「通らず」だ。入り口にある大きな釜を持つ7m滝は轟々と流れ落ち、 とても登攀できそうにない。その滝の右岸を高巻けば良いものを、戻りすぎた所から高巻き、 尾根に出るまで枯木・泥壁の続くヒヤヒヤの登攀となった。眼下に「通らず」を見な がら大滝下まで緊張感のあるトラバース。40mの大滝下に到着(13:25)。巻きを無事終えた緊 張感を解き、記念写真を撮った後、右のルンゼを高巻く。この高巻きもガレと雨後の軟弱な 土で所々、緊張を強いられる。大滝を越えるとco1055の右岸にパラダイスとも言えるテント 場があった。明日は山頂まで詰めないことを確認し、少々早いがここを寝床と決定(14:00)。 タープを張り終え、焚き火宴会開始(15:00)。緊張した一日を思いながら飲むビー ルは格別に旨い! くさや、鯖、イカの味噌漬などを焼き、その旨さにほほが緩む。宴会は 野口さんの盛り上げで、笑い声が渓に響く。つまみは上茂さんにいっぱい作ってもらい、もう 満足。至福の時間が過ぎていく。 5月4日、他パーティーに挨拶後、テン場を出発(7:10)。すぐに小滝が連続し、続い て20mの垂直の滝を左から巻くと沢は2〜3m幅のゴルジュとなる。ゴルジュ内の5m、3m を登り終えると平坦な流れになり、地形図からもう大きな滝はないと勘違い。その後も渓を右に 左に回るごとに、小滝の連続と10m、15m、15mと登攀不可の滝が現れ、和名倉沢のスケールを 思い知らされる。源頭部の1800m付近に残雪が出現するとの情報から、co1350辺りで二瀬 尾根方面へエスケープする(11:00)。ネットで拾った概念図と赤テープ頼りに下山開始。 所々、怪しげな水平道を地形図で確認しながら行く。石津窪源頭を赤テープで確認し、その左 岸道を下り、大きな植林地帯を迷いながら抜け、入渓点に降り着いた(15:30)。長い下り でオーバーヒートした膝を釜に浸けアイシング。暫し休息後、大洞川の吊橋を渡り、林道まで 130mを喘ぎながら登り駐車場に到着(16:00)。口々に和名倉沢を述懐しながら無事終えた安堵 感の中、沢支度を解き、車を走らせ大滝温泉に向かう。温泉で沢臭さと疲れを取り、帰路につ いた。 【辻本:記】 以下、野口さんの恐怖の感想を・・・・・・・・・・・・・ 雑感 ‘通らず’ゴルジュはなかなか難儀であった。この高巻きが今回唯一の印象深い失敗 といえる。 本来はすぐ左の壁をトラバースぎみに直上するのであるが、“わしゃ、あんな恐ろし い所はよう行かん!”との私の発言に“うん、あそこはやばい!”とTリーダーが反応してし まった。 これがそもそもの間違いの始まりで遥かにやばい難所へと突入してしまうことになった。 ふと立ち止まり“もっと滝に近いあたりを登るのが原則なんだけどなぁ〜”とのU女史の素 朴なかつ正しい「?」は誰かさんの強い目の圧力で封印され・・・、数十mほど戻ったあたりの 左の急斜面を登ることになった。皆の頭の中に何度も生まれつづける「??」は無視され排除さ れつづけ、強引にただひたすら強引に直上する。その時はロープなしの状態、4点で支持してい るつもりの危うげなスタンスとホールドのうちの2つが柔らかく分厚い苔ごとゆっくりとずり落 ちはじめた、さらに3つ目も・・・ずるずるずる。ああ!もうだめ!!・・・誰かが下でしかと両 の足を受け止めた。それからは私の体全体がおどおどとしており、どこを歩いていてもへっぴり 腰となっているのが自身でもよく分かる。“核心部は越えた”とのリーダーの一声で腰はしゃん とし心にゆとりが戻ってきた。 おもむろに見回すその沢あたりは、大小すべての石や岩の垂壁のすべてがジュータンのような緑の厚い苔で覆われている。そこに糸を引くように無数の水がしたたり落ちて、苔の一つ一つが淡緑色・緑色・濃緑色と変化しながらちらちらちらと細かく煌めいている。春の萌黄色に埋め尽くされた山々の襞の奥深く、陰々とした深山の気に霊水が妖気の籠った 生命を注ぎ込みつづけている。きっと私は懲りもせずにまた沢に戻ってくるのだろうな、と思う。 【野口:記】 |
2008年 千葉県勤労者山岳連盟 ちば山の会 |
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