行程:早朝千葉発―関越道―沼田インター―オグナ武尊スキー場(以前の国設武尊スキー場)駐車場―リフト3本乗り継ぎ終点(1760m)−シール登行―前武尊山頂(2040m)―十二沢滑降―最上部リフト乗り場(1600m)―シール登行―前武尊−シールのまま剣が峰への鞍部(2030m)−荒砥沢滑降―(1359m)林道横行(約1時間半)−スキー場ゲレンデ
都心より近く、スキー場のリフトが利用できるため、日帰りで深雪パウダーを楽しめるルートである。
ゲレンデスキーを目的に同行した二男と別れ、3本分のリフト券を手にして、リフト乗り場に向かったが、すでに、このコースをホームゲレンデにしているBAD TELEMARKERの皆さんがいつものように先頭でリフト待ちしていた。
リフトを三本乗り継ぎ、終点でシール登行の準備をしたが、下調べは十分したものの、初チャレンジのためBADの皆さんに声をかけ、御同行の許可を得た。
いきなりの急斜面、先頭の方が深雪にラッセルしながら深いトレースを刻んだが、かなり軽いパウダーである。間もなく先行者のトレースがあり、これを利用して快調に高度を稼いだ.十二沢上部の急斜面はブナの樹間が広く、風通しが良い部分では、雪が飛ばされ硬くなっていたり、シュカブラ状の部分もあったが、ほぼ良質の軽い深雪
(30−40cm)であった。
約1時間の登りで前武尊の頂上に到着、更に家ノ串方面へ行く
BADの皆さんと別行動となった。しばし休憩、剣が峰などをデジカメに納めいよいよ十二沢コースの深雪滑降である。
滑り出しは緩斜面、深雪ではあるが、軽いパウダーのため、滑り心地は上々。間もなくブナ林の急斜面(30度位、なるべく硬そうな部分を避け深雪の深い部分を選んだが、一部ややパック気味であった。深雪ではあるが、急斜面であるため、スピードコントロールが難しい。本日の滑り始めでもあり、かなりうまくなったはずの深雪テレマークも満足とはいえない。しだいに斜度が緩み、木が多くなって雪質も軽くなってくるとリズムにのり、綺麗なターンを連続することができた。十二沢コース(標高差400m)の最後は緩斜面を最上部のリフト方向へ滑りゲレンデに出た。ここからシールで登り返しとも考えたが、体力温存のためゲレンデを少し滑り、最上部のリフトに乗った。(ここではリフト券は購入できず、サービスして貰った)
2本目を滑るべく、再び前武尊に向かってシール登行を開始した。このころにはオフピステに入るグループも増え、ボーダーのツーアー隊が私の後を追ってきた。やや疲れたが滑降への期待からか、快調に登行し前武尊に到着。
はじめてのため、2本目も十二沢とも思ったが、好奇心と挑戦意欲がおさまらない。休んでいた自然を滑る会のメンバーに荒砥沢の状況を十分聞くことができ、今日のコンデションでは問題ないと判断し剣が峰への鞍部に向かった。緩い下りではあるが、狭くシュカブラもあるためシールをつけたまま鞍部に下りた。数年前、剣が峰下部の樹林帯の急斜面をトラバースしていて大規模な雪崩れで死亡した事例がある。鞍部の始まりの部分は剣が峰の急斜面の下部には達しておらず、ここから荒砥沢に滑り込むには、殆ど危険性はなさそうである。
滑り出しはやや硬い雪質の中斜面、間もなく30度弱の適度な間隔のブナ林急斜面が標高差で約
3300m続く。十二沢より軽いパフパフ極上深雪は、リズムに乗った深雪テレマークターンを生み出してくれた。静かで素晴らしいの一語である。体力のあるグループは再びラッセルで登り返し、複数本滑り、最後に十二沢を滑るらしい。
私は単独でもあり、ラッセルで登り返すのは体力的にも難しい。上級者と思われる綺麗なターンのトレースが沢状になったコースに続いている。コースガイドでは沢コースを暫く行くと林道にぶつかりこれを延々と横走するとゲレンデに出ることは下調べしてあるが、状況は分らない。天気は崩れる心配はない。しばしの葛藤の後、意を決してトレースを追った。中斜面から緩い沢ルートに入ると極上のふかふかパウダーで覆われ、快適クルージング気分であった。
沢は浅く周囲は素晴らしいブナ林、沢が狭く深くなったあたりが
(1359m)林道への取り付きであった。これで一安心,遭難の危険性はまずなくなったが、これから延々と続く林道の横走が待っている。僅かに登り傾斜であるため、シールをつけた。ごくわずかの距離ではあるが、雪温の変化が激しい部分で、シールに雪がダンゴ状に付き苦労した。途中で少しの行動食をとったが約1時間半の林道滑走でゲレンデに出るころには、バテバテになり、最後のゲレンデ滑走では踏ん張りが効かず、大体四頭筋がつりそうになった。夢中になったため食物摂取、水分摂取などが十分ではなかったようだ。また林道はシールをつけずに滑らした方が楽であったかもしれない。次回に機会があったら試してみよう。
シールに雪がダンゴ状についたのは初めてであるが、これは雪温が上がり防水機能の低下した濡れたシールに、べたついた雪が付着したまま急に冷えたために起こる現象である。濡れ防止のシール用防水スプレイが有効である。