岩菅山山スキー報告
メンバー:菊池単独(
TM)
日時:2
002年3月10日(日)晴れ
行程:寺子屋スキー場最上部リフト降り場
(2080m)9:30−寺子屋峰(2025m)−金山沢の頭(赤石山分岐)−やせ尾根―ノッキリ12:36―13:32岩菅山山頂(2295m)−滑降―15:05旧奥志賀林道岩巣護橋(1556m)―雑魚川徒渉−15:30志賀高原プリンスホテル東館
岩菅山は志賀高原・焼額山スキー場の正面にデンと構える200名山の一つである。大学の時(S44年)、奥志賀スキー場のオープンと同時に、ホテルで約20日間アルバイトをした。焼額はまだ開発されておらず、奥志賀から焼額を経由し一の瀬までのツアーを杉山進スキースクールが行っていた。その後瞬く間にスキー場開発が進み、焼額にはプリンスホテルができ、スキーのバブル時代であった。長野オリンピックの滑降コースとして、岩菅山が候補に上がったが、自然保護の観点から、既存のコースを使用する方針となり、八方に決定したが、やはり自然保護の立場からスタート地点の決定に紆余曲折があったことは記憶に新しい。
バブルが終わり、スキー人口は激減、変わってスノーボード全盛の時代となり、長野オリンピックでも、焼額でボードの競技が行われた。奥志賀だけは、スノーボードはいまだ許可しておらず、静かなリゾート気分を味わえるためか、皇太子夫妻も愛子妃を御懐妊直前にスキーを楽しんでおられた。
バブルがすぎ、比較的安価で宿泊できるため、私は最近、毎年のように1泊で焼額で家族スキーを楽しんでいる。この数年はゲレンデスキーは殆どやらず、もっぱらテレマークによる自然派スキーを好んでいるが、2,3年前より、焼額からみる岩菅山が山スキーの対象として気になっていた。この山は滑りを目的とするルートとしては、アプローチの困難さ、上から下まで込み入った樹木のため、ガイド集には殆ど取り上げられなかった。
テレマーク技術が上達し、雪山スキーのノウハウが少しずつ理解できてくると、せっかく目の前にした獲物を征服しないわけにはいかないような気分になるようである。事前に数少ない記録を調べまた、山スキールート図集のみに寺子屋経由のルートが紹介してあったが、地図と比較検討し準備を行っていた。
前日対面の焼額で滑り、デジカメに納めながら下山ルートを考えた.当日の早朝、天気は上々、計画を進めるべく、下山地点と雑魚川の徒渉地点を探すため、ステップソールのテレマーク板で、ホテル(東館)の下から雑魚川に向かった。川に沿って暫く探し最も徒渉しやすい地点を発見、雪面から川面まで背丈ほどの壁であったが、ステップを刻んで降り飛び石伝いに徒渉できた。対岸の急斜面を僅かに登り、平坦な雪原を暫く進むと奥志賀林道に出くわす。ここから下山地点(林道がvの字に岩菅山方向に入りこんでいる地点)の岩巣護橋まで偵察した。これで下準備はOKである。
朝食後、トップのゴンドラに乗り込み焼額の頂上へ、そこから一の瀬へ滑り込み、リフトを乗り継ぎ出発地点の寺子屋スキー場の最高地点に到着したのは9時3
5分であった。
シールをつけ気合を入れ、目の前の尾根に向かって登った。寺子屋峰、金山沢の頭と通過、これから向かうやせ尾根から岩菅山の素晴らしい眺めを楽しみながらと行きたいが、シュカブラの発達がすごい。尾根の地形どころか、シュカブラにより、激しいアップダウン、暫くすると、気温が上がったせいか、日当たりと日陰の雪質の変化もひどく、濡れたシールが日陰で冷やされ雪がダンゴ状に付くことがしばしば。体力の消耗と予想以上の時間を要した。夏道では2時間ほどで頂上直下のノッキリに到達するが、3時間余りを要した。バテバテになり時間を気にしながらノッキリに到着。頂上に向かう真っ白い急斜面と、滑降意欲がそそられる東面の広大な急斜面が見渡せた。(時間があれば一本滑りたいところであるが、下山の心配でそれどころではないが)、吹きさらしで風も強く、雪面は次第に固くなっており、最後の標高差
100mくらい残す地点のシラビソの根元で、シール登行は断念。スキーとザックをデポ、アイゼンをつけ体力を振り絞り山頂に向かった。
13:35
登頂。しばし360度のパノラマを楽しんだが、時間が迫っているためいそいそと下山を開始した。デポ地点からいよいよ滑降開始。狭いシラビソの樹間を、横滑り、キックターンで徐々に高度を下げたが、快適に滑れるほどの間隔はない。転倒し木にスキーを引っ掛け宙づりに近い状態にもなった。幸いにも視界は良好なため、あらかじめ方向を見極めておいてその方向へ下っていった。何とか傾斜も緩み、やや樹間が広がり、ターンを刻める地点で小休止。ほぼ下山できる見通しがついたためビールと行動食でリラックスした。上部は固い雪質であったが間もなく、滑りやすいやや湿った新雪が残っていた。その後下から単独でシール登行してきたスキーヤーと出くわしたが、岩菅山は稜線ルートより、滑降コースの下からピストンした方が楽であるとのことであった。下方の林道までの斜面は樹間も広く、僅かではあるが快適なテレマークターンを描けた。
その後は、今朝下調べをしたコースを辿ればよいが、徒渉後の雪壁を登るとき、朝つけておいたステップが気温が上がったため崩れてしまいなかなか上がれず苦労した。何とかステップを切り直し辛うじて上がったが、この時スコップを持参していればよかったと反省した。(この日はハードなため、できるだけ軽量化と思い、スコップを省略してしまった。)
山スキールート図集では倒木が多いが、どこでも滑降できると記載されているが、恐らく2,30年前の記録であろう。最近は樹木が密接して滑降ルートとしては快適なものとは言いがたい。しかし十分下調べをし、さまざまな経験ができ十分満足させられるものであった。志賀高原は色々なツアーコースがある。これからも志賀を訪れる機会は多いであろうが、テレマークで駆け巡ってみたい