杓子岳・白馬岳山スキー

日程 : 2004年5月2日・3日
メンバー : 菊池単独(TM)
 今年のGWは30日が当直のため、鳥海組に参加できず、直前まで行き先が決定できなかった。当初、3日間の予定で尾瀬山の鼻で雪上テント泊し至仏山・平が岳の山スキーも楽しいのではと考えていたが、GW後半が天候不順のため、2日・3日の2日間限定で楽しめるエリアとして白馬方面か立山を選んで午前2時千葉を出発した。
 上信越道を長野ICで降り、オリンピック道路を一路白馬へ向かった。途中Pで朝食を摂ったが6時半前には猿倉の駐車場に到着した。

5月2日:猿倉−小日向のコル−杓子岳(2565m:頂上に続く岩稜帯の手前)−長走沢に向かう東コースを滑降

 今日のルートは山スキーでは初めての小日向・鑓温泉方面である。天気は願ってもないピーカン。猿倉山荘の上部の登山道をわずかに進むと間もなく左の山林に小日向のコルに向かうトレースが多数ありなんとかなりそうである。間もなく台地上の地形になり、テントが数張りみられた。地図とトレースを頼りに進み急斜面をジグザグを切って上りきると間もなく小日向のコル(1824m)であった。ここにもテント数張り。杓子・鑓の眺望が素晴らしい。シールをはずし西に少し下って行くとカール状の大斜面が杓子の頂上に向かって(北西に)続いており先行する2人組がつぼ足で登っている。鑓温泉へ向かうパーティはいなく、トレースはありそうだが不安である。鑓温泉は諦め、目の前の大斜面を滑るべく上部へ上部へとスキーを担ぎ上げた。途中、ダイナミックな杓子沢上部の急斜面を仰ぎ見たり、吸い込まれるような狭い沢のノドの部分を覗き込んだりしながらの登行であった。カール状の大斜面を登りきると、台地状の地形(2130m)であった。小日向のコルから直接尾根上を上ってきたと思われるパーティがさらに上部を目指している。徐々に勾配は急になり30−40度の急斜面が延々と続いている。

 2300mくらいになると、左に杓子沢上部のカール状の急斜面を覗き込むようになる。喘ぎ喘ぎ登りきるとそこは頂上に続く岩稜帯の手前(2565m)であった。このポイントから見る白馬は筆舌に尽くしがたく、頂上から落ち込む岩壁・大雪渓など素晴らしい眺望であった。先行のフリートレックの3人組みとデジカメを撮り合い、気合をいれてさあ滑降。ほぼ真東に向かう方向(長走沢)が滑降方向である。標高差300mほどは35度前後の急斜面、アルペンジャンプターンで下り始めたが、なんと表層雪崩を引き起こしてしまう。深さ15cm、幅5m前後であるがゆっくり下へ下へと流れていく。斜面の端に停止して雪崩の状況を確かめ、再びターンを開始するがやはり表層を引き起こす。途中スキーをはずし20mほど下ったりで、緊張の連続であった。斜度が緩む2200m位からは快適な滑走を楽しめた。このコースは上部は急すぎるため雪の状態では雪崩などの危険性があるが、長い沢状コースであり白馬大雪渓と比べ静かで滑りやすいコースといってよいであろう。下部は登ってきた林間を下ったが、長走沢をそのまま下ってもよい。

     


5月3日:白馬大雪渓

 昨夜グリーンプラザのキャンプ場のテントの中で、本日のツアーをどこにするか思案した。立山・針の木雪渓・金山沢など候補にあげたが、天気の悪化が懸念され、また移動が面倒である。学生時代の33年前山岳スキーに憧れ日刊スポーツ主催の白馬大雪渓の滑降ツアーに参加、つらい登りと白馬山荘での吹雪による停滞、新雪雪崩による凄まじいデブリの上の滑降など懐かしい思いでとして蘇ってきた。今回はテレマークでの挑戦とちば山ツアーの下見を兼ねて白馬大雪渓を目指すことにした。

 天気の悪化が予想されるため猿倉を早めの5時20分に出発した。シールで葱平の急斜面の手前まで登行したが、ザックの重量がやや重く、また年のせいかピッチが遅い。つぼ足組みの方が早いようで追い抜かれてしまう。アイゼンを装着、急斜面のステップを辿り一歩一歩喘ぎ喘ぎ登った。小雪渓前の傾斜が緩む避難小屋を通り過ぎるころにはバテバテであった。

 それでも天気はこの頃までまあまあであり、豪快な大雪渓に遊ぶ登山者・青空と雲をバックにした杓子の岩壁などデジカメに収めながらの楽しい登りであった。村営山荘に向かう手前の急斜面の大岩の脇で最後の休憩、大きなリンゴをまる丸齧り、甘く水分をたっぷり含んでおり体力がリフレッシュされたようだ。村営山荘を通過、わずかの急斜面を登りきると、白馬山荘・頂上が見渡せる稜線にでた。天気は徐々に悪化しており、山頂が雲で見にくくなってきている。山荘に向かう途中にザックとスキーをデポ。山荘を通過したころから俄かに雲が多くなる気配。このまま山頂を目指していたら、滑降にも影響すると考え登頂を断念、すばやくデポ地点まで戻った。いよいよポツポツと小雨がやってきたがまだ視界は悪くない。

 さあいよいよ大滑降である。小雪渓、葱平の避難小屋付近までは適度な斜度と滑りやすい雪質で快適であった。急斜面は重い湿雪と登山者の足跡などで荒れて滑りにくい状態である。なんとか斜面を選びながら大回りのジャンプテレマークで高度を下げた。エネルギーの消費と足への負担が大きく何度も停止し、呼吸を整えた。雨もやや強くなり、上部は完全に雲の中となった。早く降りてきて正解である。高度を下げ斜度が緩むと、雨も上がり薄日がさしている。緊張感から解放され小休止をとった。デブリを避けながら荒れた緩斜面をゆっくりゆっくり白馬尻まで下った。