ちばやま |
ちば山の会1998年10月
千葉市中央区弁天町5番地鶴岡方
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<<マッターホルン:ヘルンリ稜>> 第2部:ヘルンリ稜 1998年8月1日〜1998年8月9日
1998年8月6日。3時30分起床。ここは、スイスのマッターホルンを目指して泊まるヘルンリ小
屋。いよいよマッターホルンを目指して歩いて行く朝を迎えました。あまり眠れませんでしたが、いそい
そと寝床を離れ、小屋の外に出ました。星が瞬いていました。天気は良いようです。食欲が湧かなかった
ので、ほとんど口にせず、4時過ぎに出発しました。
昨日(8/5)、取付部分については偵察を済ませておいたので、出発時は、割と楽な気持ちで歩いて
いました。が、いきなリハプエング!取付点にあるフィックスロープがない!これに掴まって岩を登って
いくのに!仕方がないので、右側のフイックスロープから回り込み、登りはじめました。問題のフイック
スロープは、誰かが使ってそのままにしていったらしく、岩の上にありました。最初の取付きの壁は、無
事に越す事が出来ました。そして、東壁側に回り込み、偵察した通りに歩こうとしましたが、暗くてよく
分からず、道に迷ってしまいました。
更に、5時頃再びハプエング!ひょいと岩を登った瞬問、頭をぶつけ、ヘッドランプが落ちてしまぃま
した。仕方なく、明るくなるのを待つ事にしました。30分程停滞…。少し明るくなってから再ぴ登りだ
しました。7:00頃偵索終了点に到着。ことから先はまた、未知の世界です。多少道に迷ったものの、
先行パーテイがいたおかげで、8:00頃ソルベイ小屋到着も少しバテ気味でした。ここで大体止をして、
ビスケットを食べました。この間、小屋の前で何人かが休憩していましたが、登り出す気配がありません
でした。ツルベイ小屋からの出だしは、モズレイスラブと呼ばれる壁になっています。誰か登る人がいな
いかなあと思っていましたが、なかなか先に行く人がいませんでした。意を決して出発する事にしました。
岩をよく見て取付き、登りだしました。登ってみると途中にピンもあり、意外と簡単に登れました。
ソルベイ小屋から先は、ザイルをつけてほとんどピレイする形で登り、更にスピードが落ちました。途
中、極太フィックスロープのある岩を過ぎ、雪壁に出ました。ここでアイゼンとピッグルを取出しました。
既に頂上から帰ってくる人達とのすれ違いが多くなってきました。このすれ違いの待ち時間で、また、時
間が過ぎてしまいました。
雪壁上には太いピンがあり、これにランニングビレイを取りながら登っていきました。この時点で頂上
を目指しているパーテイは、もうほとんどいなくなっていました。私達が最後くらいでした。
雪壁を過ぎると細い雪稜にでます。ここから北壁が見る事が出来ました。岩登りというよりも、氷壁と
いう感じでした。
時計を見ると、既に12時30分。ソルベイ小屋を出発してから、3時間30分経っています。まだこの
先には、フィックスロープが延々と続く岩の壁、更にそれを越えた後、頂上斜面が残っています。頂上ま
でまだ、3〜4時間位かかりそうな気がしました。このまま頂上を目指して行くと、ソルベイ小屋まで戻
れなくなる可能性があるとそう考えました。ヘッドランプがなかったので、どうしても明るいうちに安全
な場所まで移動していなければなりません。そう考えて、ここで登頂を諦めました。
みほちやんにとっては昨年からの思いがあり、とても悔しく、悲しい事だったと思います。
マッターホルンの頂は、遥か遠くに感じました。風がとても冷たく感じました。
それからの下降は、果てしなく長いものに感じました。延々と続く懸垂下降の繰り返し。ピンの無い所
では、岩角にシュリンゲを巻き、捨てていきました。
17時頃、ようやくソルベイ小屋に着きましたと喉が強烈に痛んでいました。敗北感の中、明日、下り
ようと思い、床に就きました。
第2部終了。
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